「絶対零度」なる言葉を聞いたことがあるだろうか。絶対零度とは宇宙の低温の限界値であり、それより低い温度はこの世に存在しないとされている。
そもそも温度とは何か。それは物質を構成する原子の運動量である。原子が速く運動すればするほど、そのエネルギーが熱として激しく現れるのだ。
そして原子運動が完全にストップしてしまった状態、それが宇宙の究極の低温・絶対零度であり、およそ-273℃である。
ならば逆に、温度をどんどん上げていくとどうなるのか。
地球の表面温度は平均15℃、世界最高気温はアメリカ・カルフォルニア州で観測された56.7℃。しかし内部マントルはドロドロにとけた岩石で6000℃にもなる。これは太陽の表面温度とほぼ等しいが、太陽の中心温度は1600万℃に達する。
そして数十億年後、太陽の寿命が尽きて超新星爆発を起こした時、その温度は5000万℃になるという。
それ以上の高温など果たして存在するのか。実は地球上に存在する。
人類が作り出した最も高い温度、それは米ブルックヘブン国立研究所が原子核衝突実験の際に発生させた4兆℃である。どのような厳重警戒のもと行われたのか知らんが、よく地球が蒸発せずに済んだものだ。
このように原子の運動速度を上げれば上げるほど、どこまでも温度は上昇する。ならばこの宇宙において、温度の上限はないのであろうか。それは無限なのだろうか。
いや、どうも宇宙の温度上昇には限界があるらしい。これは「絶対零度」に対して「絶対熱」と呼ばれている。その究極の高温はビッグバン直後に一瞬だけ生じた温度であり14溝2000穰℃。0を並べると、
1420000000000000000000000000000000℃
とんでもない数字が飛び出してしまったが、これが宇宙の高温限界・絶対熱なのである。
しかし、俺は疑問を抱かずにはいられない。ビッグバンにおいて宇宙の体積はゼロ、密度は無限大に発散するのに対し、いかに超高温とはいえなぜ温度は有限なのか。
どのネット記事を見ても、絶対熱が宇宙の最高温度である理由は載っていない。
例えばである。温度は原子の運動速度であると述べたが、まだ原子を構成する前の素粒子が宇宙最速である光速で運動した時の温度が絶対熱である、というのならば合点がいく。
けれど実際のところはどうなのか。理論的裏付けはどこにあるのか。
もっとも俺のような文系卒のド素人が、絶対熱なる宇宙の神秘中の神秘に首を突っ込んだ時点で、文字通りやけどでは済まされないのかも知れないが。