まあ知っていても特に役には立たないが。
以前、ある知人と宇宙の話をしていて、驚愕したことがある。立派に大学も卒業したその人は、太陽が宇宙の中心であり、全ての星々は太陽の周りを回っていると思い込んでいたのだ。
「いやいや、太陽は宇宙の中心などではなく、それこそ無数に存在する恒星の中の一つに過ぎない。それくらい常識だろ」、心の中でツッコんだ俺はすぐに思い直した。「いや、実際のところそれは常識なのか」。
考えてみたら、俺は少なくとも学校では太陽系までしか習っていない。ならばその人のように、太陽が宇宙の中心だと思っている人が相当数いたとしてもおかしくない。一体どこまでを以て一般常識と呼べばいいのだろうか。
ならば今日この場で、俺が決めてしまおう。「まきしまが贈る!ここまで知っていれば宇宙の常識!!」
まず、地球に最も近い天体が月だ。月の直径は3500km。そして月は地球の直径1万2000kmのおよそ30倍、地球から38万kmの距離で地球の周りを回っている。そして地球は太陽の周りを回っている。ちなみに太陽の直径は地球のおよそ109倍、地球との距離は約1億5000万kmだ。
地球の兄弟ともいうべき太陽系の惑星は、太陽に近い方から順に水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つである。太陽と、それと最も遠く離れた惑星である海王星の距離はおよそ45億kmだ。
以前は太陽から最も遠い惑星は冥王星とされていたのだが、今は冥王星は惑星から外されてしまった。理由は冥王星は他の惑星と比べて極めて小さく、だいたい太陽から冥王星ほど離れた位置を公転する冥王星より大きな天体がいくつも発見されてしまったからである。
学校で習うのはここまでだろうか。しかし俺が贈る常識はまだまだ続く。
太陽から最も近い、お隣りの恒星はケンタウルス座のプロキシマ・ケンタウリであり、地球からの距離は4.2光年である。「光年」とは距離の単位であり、1光年は宇宙で最速とされる光が1年かけて進む距離、およそ9兆4600億kmである。
そして太陽のような恒星が数千億個集まり、我々の天の川銀河を形成する。天の川銀河は円盤のような形をしていて、その直径は約10万光年だ。ちなみに我々の太陽は、天の川銀河の中心から大きく外れた端っこの方に位置する。
そして天の川銀河のお隣りの銀河がアンドロメダ銀河であり、地球からの距離は250万光年。銀河は銀河団を、銀河団は大銀河団を形成し、宇宙は数千億の銀河によって構成される。
ここまでを「宇宙の常識」とする、決定。パチパチパチ。
さて、以下は余談となる。
これまで話した宇宙とは「観測可能な宇宙」である。観測可能な宇宙とは、理論上我々の地球に光が届きうる範囲の宇宙であり、およそ半径465億光年、全宇宙のごく一部に過ぎない。光の速度と宇宙誕生から現在までの時間が有限であるため、地球に光が達する領域は限られてしまうのだ。
ならば全宇宙はどれほど大きいのか。これには諸説あるが、米物理学者レオナルド・サスキンドは10の10乗の10乗の122乗光年という解を得ている。
10の10乗の10乗の122乗、これがどれほどトンデモな大きさか。例えばこの値を普通に十進法表記しようと思ったら、観測可能な宇宙内の全ての原子の数(10の80乗個)だけ0を書いても、もう全っ然足りないのだ。
以上、お付き合い感謝。