既述の通り、先頃俺は1ヶ月ほど入院していた。入院患者の中では俺が最も若い部類、周りは50代60代のオッサンやじいさんばかり。そして広い病棟の中で、テレビは大ホールに1台だけであった。
金曜夜7時、俺の心の浄化の時間がやって来た。『ドラえもん』タイムだ。しかし大ホールでは誰も『ドラえもん』を観ていない。当然のことながら、新参で若輩の俺にテレビのチャンネルを変える権限などあろうはずもなく、俺は泣く泣く『ドラえもん』の視聴を諦めた。
さて日曜夕方6時半。俺が個部屋でうつらうつらとしていると、どこからか耳慣れた声がする。俺が大ホールへ行ってみると、なんと50、60のオッサンやじいさんたちが普通に『サザエさん』を観ているではないか。「何てこった、これが『ドラえもん』がいまだ越えられない『サザエさん』の壁なのか」。
◆後世に残したい国民的アニメTOP10
(フジ『アニメアカデミー
1億3000万人が選ぶ不朽の名作』より)
1位 サザエさん
2位 ドラえもん
3位 となりのトトロ
4位 まんが日本昔ばなし
5位 ドラゴンボール
6位 ONE PIECE
7位 名探偵コナン
8位 風の谷のナウシカ
9位 鉄腕アトム
10位 アルプスの少女ハイジ
『サザエさん』、『ドラえもん』、共に冠して”国民的アニメ”。しかしより正確を期すならば、『ドラえもん』は”親子2世代アニメ”、『サザエさん』は”老若総世代アニメ”と呼ぶべきであろう。