入院中、俺は優等生であった。物の見事に優等生を演じきった。理由は会社の上司や先輩と同じ、スタッフや古株患者に良く思われていた方が、何かと病棟で居心地が良いからだ。
しかしこの”優等生というレッテル”はなかなかに厄介だ。少なくとも俺のガラには合わなかった。俺が優等生を演じれば演じるほど、「まきしまさんなら」と周囲の要求水準はどこまでも上がっていく。どんどん高くなる優等生のハードルを次から次へとクリアしているうちに、俺は思った。「何じゃこりゃ、ちっとも居心地良くないじゃねえか」。
今ふと思い出すのは中学時代、勉強で俺がついぞ敵わなかった学年1位、生徒会長にして完璧超人だった某女史だ。誰もが認めるスーパー優等生として中学3年間、彼女はどんな心持ちで学校生活を送ったのだろうか。俺から女史に、20年越しの「お疲れ様」を言いたい。