国民的人気長寿アニメ『サザエさん』に今、異変が起きている。かつて常時30%近い視聴率を誇っていた同作であるが、ジリジリと人気は低迷し今や視聴率1桁台にまでに落ち込んでいるのだ。
娯楽の多様化によりテレビ業界自体が軒並み不振に喘ぐ中、とりわけ若い人たちの”サザエさん離れ”は極めて深刻である。
例えば以下のランキングを見てほしい。これは以前日テレにて放送された『世界一受けたい授業』より、「教育者に聞いた世界に誇れる日本の名作ベスト50」である。
1位 富嶽三十六景・神奈川沖浪裏 (絵画)
2位 ドラえもん (漫画・アニメ)
3位 それいけ!アンパンマン (漫画・アニメ)
4位 まんが日本昔ばなし (漫画・アニメ)
5位 かさじぞう (童話・絵本)
6位 走れメロス (童話・絵本)
7位 源氏物語 (古典小説)
8位 はだしのゲン (漫画・アニメ)
9位 ごんぎつね (童話・絵本)
10位 ぐりとぐら (童話・絵本)
11位 鶴の恩返し (童話・絵本)
12位 泣いた赤おに (童話・絵本)
13位 てぶくろをかいに (童話・絵本)
14位 銀河鉄道の夜 (童話・絵本)
15位 100万回生きたねこ (童話・絵本)
16位 SLAM DUNK (漫画・アニメ)
17位 ONE PIECE (漫画・アニメ)
18位 相田みつを詩集 (詩歌)
19位 ブラック・ジャック (漫画・アニメ)
20位 かぐや姫 (童話・絵本)
21位 鉄腕アトム (漫画・アニメ)
22位 桃太郎 (童話・絵本)
23位 一休さん (童話・絵本)
24位 おくりびと (映画)
25位 モチモチの木 (童話・絵本)
26位 ドラゴンボール (漫画・アニメ)
27位 風神雷神図屏風 (絵画)
28位 ALWAYS 三丁目の夕日 (映画)
29位 ルパン三世 (漫画・アニメ)
30位 坊っちゃん (小説)
31位 男はつらいよシリーズ (映画)
32位 五体不満足 (エッセイ)
33位 ウォーターボーイズ (映画)
34位 こころ (小説)
35位 ゲゲゲの鬼太郎 (漫画・アニメ)
36位 永遠の0 (映画)
37位 ゴジラシリーズ (映画)
38位 となりのトトロ (漫画・アニメ)
39位 ハチ公物語 (映画)
40位 美味しんぼ (漫画・アニメ)
41位 巨人の星 (漫画・アニメ)
42位 浦島太郎 (童話・絵本)
43位 いないいないばぁっ! (テレビ番組)
44位 機動戦士ガンダム (漫画・アニメ)
45位 太陽の塔 (建造物)
46位 ノンタンシリーズ (童話・絵本)
47位 ジャングル大帝 (漫画・アニメ)
48位 羅生門 (小説)
49位 名探偵コナン (漫画・アニメ)
50位 だるまちゃんシリーズ (童話・絵本)
総合2位の『ドラえもん』を筆頭に、「漫画・アニメ」作品はジャンル別最多の17作がランクイン。しかしその中に何と『サザエさん』が含まれていないのだ。
「国内でこそ確固たる人気を博している『サザエさん』であるが、それは海外に対しても同様に誇れるものではない」、それが世の教育者たちの見方なのであろう。日本国民誰もが知るところの『サザエさん』、しかしこの点を指してもその意外な不支持、低評価が伺える。
ちなみに俺は普段はほとんど『サザエさん』を観ないのだが、先日久々にテレビで観て、そして正直イラッとした。それは磯野家において、波平の振る舞いがあまりに尊大であったからだ。
ひと昔もふた昔も前ならいざ知らず、現代において波平のような横柄な家庭人がいたら、それは決して尊敬には値しないだろう。「フネもサザエも女中ではない。新聞は自分で取れ、茶くらい自分で入れろ」という話だ。
『サザエさん』に寄せられる批判、及び人気不振の理由は恐らく一点、「時代設定が現代でありながら、物語背景が現代とはあまりにもかけ離れている」というものであろう。
ならば俺は思うのだ。『サザエさん』の最大の時代錯誤、それは磯野家内における旧態依然とした「男尊女卑の構図」ではないだろうか。