もしも昆虫が人間サイズになっても、カマキリはライオンやトラを軽々と倒したりしません!! | まきしま日記~イルカは空想家~

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ちゃんと自分にお疲れさま。

始めはとんだ戯れ言、中途半端に知識をかじった者が適当にでっち上げた疑似科学だと思っていた。それこそ、誰も真に受けるはずがないと。しかしいつしかそれが一般の人の口からも語られるようになり、今や「常識」の地位を確立しようとしているではないか。「もしもカマキリが人間サイズになったら、ライオンやトラを軽々と倒す」。結論から言うとこれは大嘘だ。



例えばライオンやトラと言った大型の猛獣と、カマキリやアリなどの昆虫の身体的特徴を比較した時、決定的に違うのはその脚の太さだ。周知の通り、昆虫の脚は針金のように細い。そこで疑問に思わないだろうか、「昆虫はなぜあんな細い脚で跳んだり動き回ったり出来るのか」。それは動物は小さければ小さいほど、重力の制約を受けずに済むからだ。動物の体重がスケール比の3乗に比例するのに対し、筋断面積はスケール比の2乗にしか比例しない。つまり動物はサイズが大きくなるほど、文字通りその体に重力が重くのしかかって来る。ゆえに大型の猛獣は動くために太く逞しい脚が必要となり、また他の動物と戦う際には体重差が大きく響いてくるのだ。では実際にカマキリが、あの細い脚と乏しい筋量で人間サイズになったらどうなるか。これはライオンやトラと戦う以前の問題、まず立って自分の体重を支えることさえ出来ないだろう。



だからこの日記を読んだ人には、どうか「常識」としてしかと心得ていてほしい。もしも昆虫が人間サイズになっても、ノミはビルを跳び越したりしません。ゴキブリは新幹線並みのスピードで走ったりしません。アリはゾウを持ち上げたりしません。そしてカマキリはライオンやトラを軽々と倒したりしません。そこんとこ、一つよろしく。