24日、英国民投票の結果を受け英国のEU離脱が決定した。
巨大隕石地球衝突クラスの大事件だと一人で興奮していたのだが、なぜか日本のメディアの取り上げ方は冷めている。しかしこれは、例えば舛添都知事辞任のニュースなどとはまるで比較にならない、世界史の教科書に載るレベルの歴史的大異変である。
第二次世界大戦日独伊敗戦により”ファシズム”が否定され、ソ連崩壊により”社会主義”が否定され、そして今、英国EU離脱により”国家間統合”が歴史に否定されたのである。
しかしEU離脱、果たしてそれは本当に英国民の総意なのだろうか。
そもそもこの度の国民投票は、”感情”と”理性”の対決と言われていた。テロや難民流入による社会情勢不安に感情的になる”離脱派”、そして経済的大打撃だけは何としても回避したい理性的な”残留派”の闘いである。
ではここで問題。「何としてでも現状を打破したい」感情的な離脱派A君と、「現状維持が無難と考える」理性的な残留派B君、一体どちらが積極的に投票行動に出るであろうか。言うまでもあるまい、当然離脱派に決まっている。
実際投票結果を見るに、離脱派が52%、残留派が48%、そして全体の投票率は72%。つまり「離脱」を支持したのは全国民の52%×72%=38%、残り62%は「残留」もしくは「傍観する」と答えたのである。
では英国のEU離脱により、EUは崩壊に向かうのであろうか。
俺は必ずしもそうとは思わない。なぜなら英国はこれから、全世界が見守る中で”公開処刑”を受けるからだ。英国がEUを離脱するのは今ではない、最短でも2年後である。その頃にはヒステリックに高まった英国民感情も冷めていよう。
そして冷静に目の前を見れば、そこに在るのは未曾有の経済危機だ。大恐慌は容赦なく国民生活を脅かす。しかしそれでもEU離脱は決定事項、もはや誰も望んでいなくても脱退手続きは着々と進められる。国民は自分たちの投票責任も忘れて、政府に猛反発し暴徒化。さらには最悪の場合、EU残留を希望するスコットランド自治政府が英国からの独立を宣言するかも知れない。
そんな英国の地獄絵図を見て、一体どの国が勇敢にもEU離脱の二の手を挙げよう。英国脱退により、返ってEU加盟国の間に”離脱慎重論”が広がることも十分に考えられる。
さらに”慎重論”は、意外な場所に飛び火するかも知れない。
アメリカ大統領選、トランプ候補支持者は括目して英国の今後を見るべきであろう。”感情任せの向こう見ずな投票行動”が国家にどんな惨劇をもたらすか、その目ん玉の奥によくよく焼き付けてほしい。