98年、日本が初出場を決めたフランスW杯直前。
日本代表岡田武史監督のメンバー発表会見に、
まさに日本中に衝撃が走った。
「外れるのカズ、三浦カズです」
当時日本代表不動のエース、FW三浦知良まさかの落選だ。
三浦知良は誰よりも夢見ていたW杯を目前に、
日本代表から去ることになる。
この時カズは、まだ31歳の若さだった。
KING KAZUこと三浦知良。
Jリーグ初代MVPにして、日本代表の絶対的エース、
”ミスターJリーグ”と呼ばれた男。
Jリーグ創設以来のサッカーファンは、
まず間違いなくカズのファンと言っていいだろう。
そんな彼が、なぜ念願のW杯出場を目の前に、
代表から落選しなければならなかったのか。
フランスW杯アジア地区予選。
確かにカズのキレやスピードは、
94年アメリカW杯予選時よりも格段に落ちていた。
もはやかつてのようなアジアNo.1ストライカーたる、
圧倒的なパフォーマンスは見られない。
しかしそれでも尚、
カズは当時日本で最も卓越したFWの一人だった。
たとえスタメンではなくとも、
ベンチにカズが控えていればどんなに心強いか。
なぜ岡田監督は無慈悲にも。
日本サッカー界最大の功労者から、
夢のW杯のピッチを奪ったのだろうか。
あれから早20年。
今振り返り思う。カズはベンチに置いておくことが、
出来ない選手だったのではないか。
フランスW杯予選で才能が開花した若き司令塔MF中田英寿。
岡田監督は彼を中心としたチーム作りを進めようとした。
そして中田と最も相性の良い、
FW城彰二をカズに代わる新たな代表のFWの主軸に。
それが岡田監督の目論見だったはずだ。
しかし今でこそ、
過去日本代表を2度率いてW杯出場を果たした名将。
日本サッカー界の大重鎮、岡田武史。
けれど当時はまだ実績も認知度も何もない、
「誰これ」なメガネのオッサン。
片や、日本サッカー界のレジェンドKING KAZU。
若手選手や中堅選手がどちらに感化され支持するか、
もはや自明の理である。
そのカズを控えに回す。カズ本人はもちろん、
彼を慕う選手たちも黙っていまい。
つまりエースストライカーか、それとも代表落選か。
そもそもカズにはその中間、
ベンチという選択肢はなかったのであろう。
さて、何でふとこんな日記を書こうと思ったのか。
現日本代表FW岡崎慎司がついに代表49ゴール、
カズが持つ日本歴代2位55得点を射程に捉えたからだ。
もしカズにカリスマ性がなかったら。
もしカズに絶対的影響力がなかったら。
彼はあと4年日本代表に在籍し、
さらに10ゴールを上積みしていたことだろう。
これ以上の皮肉があろうか。
◆日本代表通算得点
1位 釜本邦茂 75得点
2位 三浦知良 55得点
3位 岡崎慎司 49得点
4位 原博実 37得点
5位 本田圭佑 35得点
6位 香川真司 27得点
6位 高木琢也 27得点
8位 木村和司 26得点
9位 中村俊輔 24得点
10位 高原直恭 23得点