俺の幼少期、80年代末から90年代初頭。
まさに一世を風靡した2大一億総視聴アニメといえば、
『ドラえもん』、そして『ドラゴンボール』である。
今の30代で、この両作を通らず育った者などまずいまい。
俺もまた御多分に漏れず、
『ドラえもん』、『ドラゴンボール』を存分に享受した一人だ。
そして周知の通り、『ドラえもん』は放送開始35年、
今や日本屈指の長寿テレビ番組に。
『ドラゴンボール』もまた昨年、
18年ぶりとなるテレビ新シリーズがスタートした。
◆日本を代表するアニメといえば?
(「gooランキング」より)
1位 ドラえもん 3815票
2位 サザエさん 2856票
3位 ONE PIECE 2304票
4位 ドラゴンボール 2088票
5位 それいけ!アンパンマン 485票
6位 鉄腕アトム 468票
7位 名探偵コナン 444票
8位 ポケットモンスター 420票
9位 ルパン三世 366票
10位 宇宙戦艦ヤマト 315票 ※以下略
しかし最近つくづく思う。
『ドラえもん』、『ドラゴンボール』がどうにもつまらない。
今でも『ドラえもん』は時間の許す限り観ているのだが。
俺がアニメ適齢期をとうの昔に過ぎた、
バリバリの中年になってしまったという点を十分に考慮しても。
子供の頃に胸躍らせた、
あのスペクタクル感が微塵も感じられない。
さらに新シリーズ『ドラゴンボール超』に至っては。
最初の2、3回だけチャンネルを回すも、
あまりの酷さに観るに耐えず、それ以後視聴をやめてしまった。
なぜ『ドラえもん』、『ドラゴンボール』は、
これほどまでにつまらなくなったのか。
『ドラゴンボール』がつまらなくなった理由は明白だ。
最大の見せ場である戦闘シーンから、
暴力性、残虐性を徹底的に排除してしまったことである。
もはや『ドラゴンボール』のバトルシーンの緊迫感は、
アンパンマンとバイキンマンのそれに等しい。
”食育的要素の欠片もない『アンパンマン』”など、
一体誰が面白がって観るというのか。
分からないのは『ドラえもん』だ。
『ドラえもん』がつまらなくなった最大の要因は、
舞台が”日常世界”に限定されてしまったことである。
『ドラえもん』の各話は大きく2つに分けられる。
(1)のび太の家の界隈で巻き起こる”日常編”
(2)時間旅行や宇宙旅行などを扱った”非日常編”
そして通常放送回はほとんどが日常編で占められ、
非日常編は全くと言っていいほど見られなくなってしまったのだ。
これはあくまで俺の憶測であるが。
現在『ドラえもん』の制作サイドは、
故藤子・F・不二雄の原作を模倣・再利用しているのが実情だ。
そのうち非日常編は映画やスペシャル放送回に”温存”し、
通常回は日常編だけで回しているのではないか。
言うなれば”ファンタジー性の出し惜しみ”だ。
今やテレビ業界におけるコンプライアンスは、
かつてないほど厳しさを増している。
確かに安心して子供に観せられる番組制作は、
供給サイドの欠かすことの出来ない責務であろう。
しかし、例えばアニメの戦闘シーンを観た子供が、
即ち暴力的な人格形成を遂げると見なす。
これはいささか短絡的ではないか。
また、制作側の都合で子供の感受性を侮れば、
子供は敏感に察知し、番組から離れていくだろう。
毒にも薬にもならぬ、駄菓子の如きアニメに需要はない。