小学時代、俺は地元の少年チームでサッカーをやっていた。
そしてもちろん、小中高の体育にもサッカーはあった。
比較的フォワードを任されることが多かった俺。
恐らく生涯通算で、30ゴールくらいは挙げてきただろう。
その30ゴール全てが、インサイドキックかアウトサイドキック、
要するに、球速を殺したゴロのシュートである。
こう見えて、俺はなかなかの頭脳派プレイヤーであった。
学校の体育レベルのサッカーであれば、
キーパーと反対側のポストを狙って正確にボールを転がせば、
まず間違いなく止められることはない。
それは点を獲るために、最も確実で合理的なシュートであろう。
だがそんな屁理屈は、今となってはどうでもいい。
たった一度でいい。俺はインステップキックで、
ネットに突き刺さるような強烈なシュートを決めてみたかった。
まきしま34歳、もう一生サッカーをやることはあるまい。
まず俺の顔の広さでは、友人22人など集められない。
いや、それ以前の問題として。
今や俺がフルコートを走り回るのは、せいぜい5分が限界だ。
しかしもし、俺が来世においてサッカーをやることがあれば、
必ずやペナルティエリア外から弾丸シュートを決めてみせる。