どれくらい前だったか、俺は病院で、
ウェクスラー式知能検査を受けたことがある。
結果はIQ114。
IQ130以上、70以下が異常値とされる同検査。
要するに俺は、どこにでもいる掛け値なしの凡人である。
しかし世の中には、
IQ150、160を叩き出す輩がそれこそゴロゴロいるだろう。
さらにいうと、あの車椅子の天才物理学者S.ホーキング、
彼のIQは200以上とも言われている。
極めて高い知能を持つ天才たち。
果たして彼らは、その頭脳に見合うだけの、
社会的地位や名声、収入を得ているのだろうか。
ひがみも込めて、俺は必ずしもそうとは思わない。
まず、コミュニケーションの問題。
1を聞いてようやく2を解する凡人と、
1を聞いてたちどころに10を察してしまう天才。
どう考えたって会話がまともに成立する訳がない。
さらに、仕事の成果の共有。
天才の業績に習い模倣しようとしても凡人には不可能、
その所業は極めて再現性が低いと言えよう。
そして強調すべきは、天才を評価する上役も含めた、
世の中の90%以上の人間が凡人なのだ。
「不適合」の烙印を押されるのは凡人ではない、
天才の方であろう。
残念ながら日本社会においては、
周囲と歩調を合わせられる程度の能力が重宝される。
ゆえに俺は主張する。
「社会において本当に必要な才能、
それは全ての能力面について”オール3”であることだ」