周知の通り、
我々人類を含むサルの仲間をまとめて「霊長類」と呼ぶ。
では”霊長”とは、一体どんな意味であろうか。
”特別な力を持ち、
あらゆるものの中で最も優れているもの”
そのような神々しく有難い分類名が、
我々人類やサルたちに冠せられたのである。
俺はそこに、人類の極めて強いエゴを感じる。
「生物の中で、人類とその近隣であるサルたちは、
優れた力を与えられた特別な存在である」
また、人類はこうとも考えたいはずだ。
「もし人類がいなかったら、知性を獲得するのは、
人類の近隣にして人類の次に優れたサルたちだ」
しかし残念ながら、人類が絶滅した後、
知性を獲得するのはサルではない。
その最有力候補は頭足類、つまりイカやタコの仲間だ。
そして、イカやタコが知性を獲得したからと言って、
食物連鎖の頂点に立つとは限らないのである。
我々人類は、深く認識すべきであろう。
人類が知性を獲得したこと。
知性を獲得した人類が食物連鎖の頂点に立ったこと。
それらは必然でも何でもない、単なる偶然だ。
そしてその偶然は、
まだたかだか数百万年しか続いていないのである。