俺は別に、人生をやり直したいとは思わない。
例えばドラえもんの何かしらの道具を用いて、
これまでの半生33年間、その時系列のある一時点に遡る!
そして過去の苦々しい失敗体験を、
見事輝かしい成功体験に転じさせたとしよう。
ならば今頃俺はプロスポーツ選手か?
医者に弁護士、あるいはキャリア官僚として大成していただろうか?
キッパリあり得ない!結局のところ俺は所詮俺だ!!
しかし、今現在の人生が何一つ変わらないとしてもだ!
俺にはどうしてもリトライしたい過去がある。
ズバリ!小学時代の少年サッカーだ!!
俺は小3から小6まで、地元のスポーツ少年団、
少年サッカーチームに所属していた。
そして小3、まだサッカー経験も浅いうちから、
Cチーム(小4チーム)不動のセンターバックとしてスタメン出場!
なにせ小3当時の俺と言えば、
◆150cm56kgの規格外の体躯
◆巨躯を裏切らない圧倒的パワー
◆劣勢を一本でひっくり返すロングキック
◆巨体に似つかわしくない50m8秒台の瞬足
想像して見よ!
まだ体も出来ていない、小学校中学年の小柄な相手フォワード。
そこへ中学生かと見紛う大巨人!
アンドレ・ザ・ジャイアントが猛スピードで突進してくるのだ!!
それこそ相手チーム誰もが戦意喪失したものだ。
そして小4!俺は以下全てを託されるCチームの主軸選手に!!
◆Cチームの副キャプテン
◆守備陣のリーダー
◆ゴールキッカー(注1)
◆スポーツ少年団対抗リレーの代表選手(注2)
(注1)高校生やプロの試合でこそ、
ゴールキックはキーパーが蹴るが、小学生の試合では、
大抵守備陣で最もキック力がある者が蹴る。
なぜなら小学生のゴールキック、
ハーフラインを越えて飛ばせる者はほとんどいないからだ。
(注2)年に1度開かれるスポーツ少年団対抗の体育祭。
リレーは各学年から最も足の速い者が2人ずつ、
計12人が代表に選出される。
当時俺は、ゆくゆくはAチーム(小6チーム)、
その絶対的な守備の要!!周囲の期待を一身に受けていた。
しかし順風満帆であったはずの俺の少年サッカー時代。
それは一転、あまりにも不運すぎる人生最初の挫折に!
小4の終わりから小6にかけて、実に大小6回の骨折!!
そして小6、約1年半ぶりにピッチに立った俺は…
もはや完全に”浦島太郎”であった!
怪我の影響がどうとか、そんな問題ではない。
小4と小6とでは、スピード!パワー!テクニック!
とにかく何もかもが別次元なのだ!!
俺にはCチームのゲーム感覚しかない。
そんな俺がAチームのピッチで出来ることはただ一つ!
それは茫然としてピッチに立ち尽くすことだけであった!!
それでも、恐らく監督のお情けであろう。
俺はスタメンのセンターバックとして、ピッチに立ち続けた。
しかし副キャプテン、守備陣リーダー、ゴールキッカー、リレー選手、
約束されていた全ては、他のチームメイトに持っていかれた。
あれから20年!これまでの人生で一体何度経験したことだろう?
ほぼ手中に収めていたものが、
まるで白い砂のように指の間からこぼれ落ちていく…
その悔しさたるや、決して慣れるものではない!
もし慣れてしまったならば、それは向上心の破綻だ!!