真紅の海 | まきしま日記~イルカは空想家~

まきしま日記~イルカは空想家~

ちゃんと自分にお疲れさま。

赤い月が水面を照らす。
呼応するように、さざ波はガーネットのように煌めく。

捨ててしまいたい、何もかもから逃げ出した。
私はただ一人、あてもなく海岸線を歩いていた。

浜辺に腰をおろし、波音に耳をすます。
そっと目を閉じ、今静かに夢想にふける。



真紅の海に沈む。
やがて停止する私の身体を、優しく水流が包み込む。

呼吸は果て、鼓動も尽き、
私は私を形成する全てを、母なる源へ返す。

薄れゆく意識の中、最期に私が目にする光景は、
どんなにか幻想的で、そして破滅的だろう。