ご存じ、埼玉が生んだハードパンチャー!まきしまです。
若かりし頃、ゲーセンのパンチングマシン!
それこそ拳一つで築き上げた武勇伝は数知れず!!
そんな俺がまさか、
世界タイトルマッチに挑むことになろうとは―――――
以前、友人甲氏、乙氏を家に招いて飲んでいた時。
BGM程度にかけていたテレビに、竹原慎二が登場!!
竹原慎二と言えば、ボクシング元WBA世界ミドル級チャンピオン!
中重量級で世界を制したのは、後にも先にも彼一人である!!
なんとその竹原が、
番組の企画でパンチングマシンに挑むと言うではないか!!
もはや呑気に鍋なんかつついてる場合じゃねえ!
食い入るようにテレビを凝視する俺ら。
そしてパンチングマシンの機種は、
俺もゲーセンで何度も打った「ソニックブラストヒーローズ」!
ちなみに俺のベストスコアは231!!
甲「まきしま、勝つかなあ?」
乙「勝てる訳ねえだろ!相手は世界チャンピオンだぞ!」
竹原186cm/86kg、一方まきしま177cm/69kg、
それ一つとっても十分すぎるほど分が悪い!!
しかし竹原と言えば、かつては手が付けられない程の不良!
ついた異名は「広島の粗大ゴミ」!
ならばこれは、「広島の粗大ゴミ」VS「埼玉の生ゴミ」の闘いだ!!
そしてついに竹原の拳が炸裂!!ズガンッッ!!
ビューティホー…それは美しい、実に美しいパンチであった。
フォームに一切力の無駄のない、速く、流れるような右ストレート!
果たしてスコアは!?世界を制した男闘呼、そのスコアは!?
223!!
その瞬間!ここ埼玉に世界ミドル級新チャンピオンが誕生した!!
その名は…まきしまァアア・ザ・グレートォオオ!!
あれからもう1年以上が経つ。
まだ俺は、世界ミドル級のタイトルを保持している。
当たり前だ!俺に挑もうという友人が誰も現れないのだから!!
絶対王者…
それは実に退屈にして、実に孤独なものだ。