安全性確保できないクラブは追放も-セリエAの暴動事件
【ローマ4日(日本時間5日)=坂本万里雄】2日に行われたセリエA、カターニャ-パレルモ戦の暴動で警官1人が死亡した件で、イタリア・オリンピック委員会(CONI)は臨時会議を開催。本拠地で安全性を確保できないクラブを来季の各リーグから追放する強硬策の導入も示唆した。セリエAでは条件に満たないクラブが過半数。06年W杯優勝国が史上最大の危機に立たされた。
カターニャで行われた殉職警官の葬儀。娘(左から2人目)は悲しげに父の棺を見つめた(ロイター)
セリエAで12年ぶりに起きた死亡事件が、イタリアサッカー界をかつてない窮地に追い込んでいる。同国最高のスポーツ機関であるCONIのペトルッチ会長は、今回の事件の対策として、強硬な態度を打ち出す構えだ。自動改札機や防犯カメラ増設など、スタジアムにより厳しい安全規定を導入。来季までに基準を満たさないスタジアムでの試合は開催禁止にすべきという、まさにサッカー界追放の厳罰に処することを示唆した。
しかし地元報道ではCONIの基準を満たすのはセリエAの20チーム中、FW大黒の所属するトリノほか、スタジアムを共用するASローマ、ラツィオとパレルモのみ。ともに「サンシーロ」スタジアムを使うACミランとインターミラノの強豪や、今回の当事者でFW森本のいるカターニャ、MF小笠原のメッシーナなど、日本人選手所属クラブも“ターゲット”となる。
一方でローマやリボルノでは事件翌日の3日、過激なフーリガンがさらなる警官の殺害を宣言、対策は実施前からその効力が問われている。
昨季セリエAを揺るがした不正問題を超える忌まわしい事件。すでに7日の国際親善試合・ルーマニア戦(ホーム)が中止されたイタリアは3、4日に組まれていた少年サッカーを含む全リーグ戦が中止された。アマート内務相は「異常な事態には異常な対策が必要だ。(リーグが再開しても)無観客試合となり、ファンは2度とサッカーを観戦できないことも覚悟しなければならない」と警告。同国サッカー協会のパンカリ臨時代表は「リーグ戦停止は正しい判断だ。抜本的な解決策が求められている」と断言する。
昨年7月のW杯優勝から7カ月。激震に見舞われるイタリアサッカー界に、出口は見えない。
★カターニャの選手らも参列-殉職警官の葬儀
殉職した警官の葬儀が5日、シチリア島カターニャで行われた。会場の大聖堂には遺族やカターニャの選手らが参列。葬儀の模様は全国放送で中継された。ローマ法王・ベネディクト16世とプローディ首相が暴力追放の声明を出す中、警官の15歳の娘が「父の死が社会をよくすることに役立つよう願っています」と弔辞を述べ、参列者の涙を誘った。
また検察当局は4日(日本時間5日)、検視の結果、爆竹の爆発とされた死因が、鈍器で撲打されたことで肝臓に重傷を負ったためと発表した。
★カターニャの会長が辞意撤回
パレルモ戦での警官死亡事件を受けて辞任を表明していたカターニャのプルビレンティ会長は4日(日本時間5日)、「辞任を決意したのち、ならず者に屈することはないと思い直した」と辞意を撤回した。同会長は事件翌日の3日に「いやすことのできない傷を負った」として“引責辞任”を表明。イタリア・リーグ協会のマッタレーゼ会長が、責任者として事態収拾に当たるよう求めていた。
★損害賠償を辞退
セリエAで起きた死傷事件によって7日のイタリアとの親善試合(アウエー)が中止になったルーマニア・サッカー協会は5日、イタリア側が提示した損害賠償の支払いを辞退したことを明らかにした。7日にホームでモルドバと親善試合を行うことが決まったルーマニアは、今年末か来年初頭にイタリアとの再戦を求める意向という。
★Jにも教訓
週末のセリエAでの騒動後初の営業日となったJリーグ内でも、事件についての会話が多く交わされた。ある幹部は「発炎筒や爆竹を持ち込ませるなど、警備が甘かった部分もあるのではないか」と指摘。Jリーグについては「ホーム席とアウエー席の間に緩衝地帯を設けたり、警察の警備など、厳しすぎるほど対策をしている」と話した。今後新たな対策などの予定はないものの、事件は教訓として各方面の担当者の胸に刻まれることになりそうだ。
かなり尾を引いた問題と化してます。
不正疑惑→W杯優勝→暴動とイタリアサッカー界は天国と地獄の繰り返し・・・
Jリーグも厳しくなるかも?