毎年香る金木犀 | 本当にひとりごと

本当にひとりごと

自分の人生が自分の為だけのものになったから、もう好きな事だけで生きていく

近所の歩道の街路樹に

50mくらいだけど

金木犀が植えられてる

 

背丈くらいかな

自転車で通るとふわっと

香りが届いてこの時期は好き

 

雨降ったからちょっと

花がポロポロ落ちてきたけど

 

母を乗せた車椅子を押して歩いてた時

ちょっと止まって!って

言われて…どうしたのかと思ったら

金木犀に顔を近づけてた

 

車椅子に座ってる位置には

けっこう香りがするみたい

 

いい匂いだね~って

深呼吸してた

 

この時期…

自転車で通って金木犀が香ると

その頃のことを想い出すね

 

もう5年近く前の話になるんだね

寝たきりになる前は入院期間が

長かったから外に出てなかったもんね

 

認知症がひどくなってきたら

外に出るとどこへ行くのか不安に

なるようで…

 

景色が近所なのかどうかもよく

わからなくなってたようだから

外に出たら自分をどこかへ

預けようとしてるんじゃないかって

思ってたみたい…

 

実はちょっと喧嘩した時に

ポロっと言ったことあるんだよね

 

もう施設でもどこでも入ればっ!

ってさ

 

そんなつもりは毛頭なかったけど

頭きて怒鳴ったことあんのよ

 

それをずっと覚えてたみたいで

あんたがあたしのことみないなら

もう死なせてくれ…とか言ってさ

 

寝たきりになってからだったな~

最期までちゃんと看るからね

ずーっと長生きしててもいいよ

って言えたのは…

 

認知症進んでたから理解したかどうか

さっぱりわかんないけどね…

わかってるかわかってないかも

わからない状態だったから

 

一切動かず言葉もなく無表情で…

たまに目を開けて動くものを見てるくらい

 

ん~でもとりあえずなんでもかんでも

声かけて介護してたわけだけど…

そうだな~ほんのたま~に

頷いたり、あぁーくらいは言ったかな

 

よく母が寝てるベッドに潜り込んで

隣りに添い寝してたんだけどさ

1度だけ…私の顔見て笑ったことあったんだ

 

娘の顔忘れてよく 娘どこ? って

私に聞いてたけど、時々ちゃんとわかって

あら、今日は帰って来たの~

って笑ってた時と同じ笑顔だった

 

声は出さなかったけど…

あぁ、私のこと認識してるなって

ほんと1度だけだけど思ったんだ

あの笑顔もずっと目に焼き付いてる

 

ちょっと散り始めてはきたけど

母、金木犀が満開だよ

今年もいい香りだね

 

きっと来年も再来年も咲くだろうね

そしたらまた一緒に通ったこと

想い出すからね