大倉 崇裕 三人目の幽霊
憧れの大手出版社に入った間宮緑が研修を終えて受け取った辞令は、<「季刊落語」編集部勤務を命ず>。座布団に座って面白い噺をしては客を笑わせる、あの落語・・・? その場で辞表を書こうかと世を儚みかけたが、せっかく入ったのにもったいない、どうにか気を取り直した。年四回発行の落語専門誌「季刊落語」の編集部は総員二名。唯一の上司兼相棒はこの道三十年の編集長、牧大路。二と二を足して五にも十にもしてしまう人並み外れた洞察力の主である。牧の手にかかると、寄席を巻き込んだお家騒動、山荘の摩訶不思議、潰え去る喫茶店の顛末・・・。 "落ち"が見えない様々な事件が、信じがたい飛躍を見せて着地する。時に掛け合いを演じながら、牧の辿る筋道を必死に追いかける緑。そして今日も、落語漬けの一日が始まる――。
大岡 昇平 事件
事件は神奈川県の小さな町で起こった。小学校の同級生だったヨシ子と結婚しようとした19歳の少年が、その結婚に強硬に反対したヨシ子の姉を殺害した容疑で逮捕された。当初単純に考えられた事件は、裁判の進展とともに意外な事実が明らかになり、次第に複雑な様相を呈し、被告のみならず、判事、検事、弁護士、証人とその家族、この事件に関わりのあるすべての人間の隠された人生をやがて露呈させていく・・・。
大石 直紀 オブリビオン~忘却
幼い頃、ジャングルジムから落ちて失ったはずの記憶。幸せな生活を送っていた中学生・梓は、ふとしたことから自分の出生に疑いを抱く。自分の父は、妻を殺した男・信彦なのか?一方、香港での潜伏生活に疲弊した信彦は、けしい帰るまいと思っていた祖国アルゼンチンへ向かう。二度と出会うはずのない父と娘。運命の絆は、二人を再会へと導くのか!?愛と官能、緊迫のサスペンスミステリー。