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基礎知識 その12

3)人的交流

在日フィリピン人(外国人登録者数):187,261人(2005年末時点、法務省データ)
(在日外国人数の約1割を占める。韓国・朝鮮、中国、ブラジルに次いで第4位。)
在フィリピン邦人:12,913人(うちマニラ首都圏在住10,879人)(200510月時点、在留届ベース)

4)貿易(2005年)

フィリピンにとって、日本は米国に次ぐ、第二位の貿易相手国(148億ドル。米国は154億ドル)。フィリピン側の恒常的な赤字傾向。

輸出(フィリピン→日本):72億ドル
電気機器(約7割)、一般機械、食料品

輸入(日本→フィリピン):76億ドル
電気機器、一般機械、原料別製品

5)投資

 日本はフィリピンへの主要投資国の一つであり、直接投資は275億ペソ(2005年末)。主要進出企業は、自動車、電子機器、機械等。20059月時点の進出日系企業数は512社(日本商工会議所登録数)。

6)日・フィリピン経済連携協定(EPA

 200411月に首脳レベルで大筋合意した日フィリピン連携協定(EPA)は、本年9月、ASEM首脳会合(於:フィンランド)の際に、小泉総理(当時)とアロヨ大統領の間で署名が行われた。

7)経済協力

(イ)フィリピンにとって日本は最大の援助供与国。日本にとっては、フィリピンは最重点供与国の一つであり、対フィリピン援助累計は対インドネシア、対中国、対インドに次いで第4位。2005年までの援助累計は、総額24,570.91億円(円借款 20,326.74億円、無償資金協力2,491.01億円、技術協力1,753.16億円)。

(ロ)重点分野は、1)経済体質強化及び成長制約要因の克服、2)貧困削減及び地域格差是正、3)環境保全、4)人材育成。国別援助計画もこれを踏襲している。

(ハ)200212月のアロヨ大統領国賓訪日の際、小泉総理は「平和と安定のためのミンダナオ支援パッケージ」を発表。最貧困地域のムスリム・ミンダナオ自治地域(ARMM)を中心に、行政官研修、保健・医療及び農業・農村開発等の基礎的生活の向上、平和構築支援等を通じて、ミンダナオの貧困脱却と平和定着に向けた支援を行っている。さらに、ミンダナオ情勢の安定化による復興・開発ニーズの高まりを受け、20067月、我が国は国際監視団本部(ミンダナオ島コタバト市)への開発専門家の派遣を決定。JICAより在フィリピン日本大使館書記官に採用された同専門家は、「ミンダナオ復興・開発担当上級アドバイザー」として、10月下旬より、国際監視団本部の社会経済開発部門の長として、復興・開発ニーズの把握、支援案件のモニタリング及び包括的開発計画の策定等を行っている。今般の派遣に際し、効果的なミンダナオ支援実施のため、在フィリピン日本大使館、JICA及びJBICの各マニラ事務所から構成される「ミンダナオ・タスクフォース」が設置された。また、住民レベルに裨益する草の根・人間の安全保障無償資金協力は、2006年末時点で当初の目標の1年間に10件以上を達成し、12件が採択されている。

(ニ)無償資金協力については付加価値税(VAT)の未還付を背景に2003年より新規供与が停止されていたが、還付完了が間近となったことから、本年6月、一般無償資金協力再開に向け、調査団が派遣された。

8)人身取引問題

 米国務省の「人身取引報告書」を踏まえ、200412月、我が国は「人身取引対策行動計画」を策定し、翌年3月に入管法基準省令を改正。従来、多数のフィリピン人が興行査証によりエンターテーナーとして入国していたが(2004年には約83,000人)、同改正により、興行査証取得に際しては、日本以外の外国における2年以上の学歴又は2年以上の芸歴が要件となった結果、同査証取得者数は大幅に減少した。さらに20056月、本邦の招聘機関・出演店舗に対する審査基準を整備した結果、2005年は約48,000人、2006年は約8,600人まで減少(法務省統計)。

9)日系人問題

 戦前にフィリピンで建設業等に従事した日本人労働者と現地女性との間に生まれた子供達は、戦後、強い反日感情の中、身を隠して厳しい環境の中で生活してきた。その後、80年代になり、反日感情の緩和と日系人会の運動活発化により、政府は日系人調査を開始。計4回の調査で、1)計393名の日本人及び1,436名の日系2世の確認、21世及び2世の1,829名の血縁である33,180名の家系図データベース(6世まで登録)作成、3)調査で得た手がかりをもとに22名が就籍手続きにより本人戸籍を取得。なお、今後の課題は身元が判明していない784名の身元確認の支援。

基礎知識 その11

6.日・フィリピン関係

1)日・フィリピン国交正常化50周年(日フィリピン友好年)

 両国は、日本とフィリピンの国交正常化50周年にあたる2006年を二国間の「友好年」、国交を回復した723日を「友好の日」と宣言し、20061月の日本側主催の和太鼓公演(ロムロ外務長官、ドゥラーノ観光長官、我が国より塩崎副大臣(当時)出席、於:マニラ)を皮切りに、1年間に亘って、日・フィリピン双方で各種記念行事が実施された。外相の相互訪問(4月のロムロ外務長官の外務省賓客訪日、7月の麻生外務大臣のフィリピン訪問)、各種政策対話(外務・防衛当局間協議、次官級協議)、文化行事(11月に在京フィリピン大使館主催「フィリピン・フィエスタ」(於:日比谷公園))等が実現し、12月には安倍総理がマニラを訪問し、アロヨ大統領との間で、両国の今後の協力分野を謳った共同声明「親密な隣国間の包括的協力パートナーシップ」に署名する等、二国間関係が多方面で緊密化した。

2)アロヨ政権発足以降の主な要人往来は以下の通り。その他、民間招待で経済閣僚等の要人往来も頻繁。

年号

往来

20019

アロヨ大統領訪日

20021

小泉総理フィリピン訪問

20025

アロヨ大統領訪日

200212

アロヨ大統領国賓訪日

20036

アロヨ大統領訪日

200312

アロヨ大統領訪日(日ASEAN特別首脳会議)

20046

川口外務大臣フィリピン訪問(アロヨ大統領就任式出席)

20046

中山太郎日フィリピン友好議員連盟会長フィリピン訪問(セブ)

20051

塩崎外務副大臣フィリピン訪問

20064

ロムロ外務長官訪日(外務省賓客)

20065

デ・ベネシア下院議長訪日(衆議院議長招待)

20066

フィリピン日本友好議員連盟訪日(ラクソン上院議員等)

20067

麻生外務大臣フィリピン訪問

200612

安倍総理マニラ訪問
麻生外務大臣セブ訪問(ASEAN関連会合出席)

20071

安倍総理セブ訪問(東アジア首脳会合等出席)
浅野副大臣セブ訪問(ASEAN関連会合出席)

基礎知識 その10

5.外交関係の動向

1)アロヨ大統領は外交政策の基本方針「8つの現実」において、安全保障、経済外交、外貨獲得源である海外出稼ぎ者の保護という従来の三本柱に加え、日本、米国、中国を「決定的影響を与える国」として強調。

2)中国との関係は、20049月のアロヨ大統領国賓訪中を契機に経済・防衛分野を中心に進展。20054月には、国交関係樹立30周年の一環として、胡錦濤国家主席がフィリピンを訪問した。南シナ海の海洋資源合同調査については、20058月、フィリピン・中国・ベトナムの3国の石油会社が合同調査を開始した。本年1月には、アロヨ大統領は温家宝首相と会談を行い、経済連携強化、技術協力及びフィリピンのインフラ支援等について合意した。

3)伝統的な同盟国の米国とは、テロ対策や国防改革において協力関係を維持している。2002年以降、アブ・サヤフ・グループ(ASG)等のテロ組織の掃討を念頭に入れた合同軍事演習等が実施されている。

4)フィリピンは、20068月より1年間、ASEAN議長国をつとめ、同年12月の東アジア首脳会議(EAS)議長国でもあり、ASEAN諸国との外交関係強化に熱心である他、豪州との海上保安対策を中心とする防衛協力、エネルギー政策及び海外出稼ぎ者の保護の観点から中東諸国との関係強化にも積極的に取り組んでおり、20065月にはアロヨ大統領がサウジアラビアを国賓として訪問した。