やしの木マウイ島からアロ~ハ❣やしの木
 
マウイ島の高地には
ミツスイ (honeycreeper)という
絶滅の危機に瀕した野鳥がいます。
 
細い湾曲したくちばしを
使って花の蜜を吸う
ハワイのミツスイの祖先は
600~700万年前に
アジアから嵐に飛ばされてきた
コザクラインコの群れだと
言われています。
それが何万年もハワイ諸島に広まり、
約50種に進化を遂げたのです、
 
彼らはその長いくちばしで
蜜を吸う時に顔にくっついた
花粉を運んで受粉を手助けし、
植物の種子を運び、
害虫を食べたりと
ハワイの美しい生態系の維持に
ずっと貢献し続けてきました。
 
また、ミツスイはハワイ文化にとっても
重要で、羽が装飾に使われたり、
物語や歌に登場したり、
ずっと愛されてきた鳥なのです。
 
現在は天敵や環境破壊、
病気などの理由から17種にまで
減ってしまいました。
 
例えば、ポリネシアやヨーロッパから
持ち込まれたイノシシや犬など、
またネズミ対策のために放された
マングースなどが鳥だけでなく
卵も食べてしまったり・・・
 
環境面では鳥の好きな島の植物が
外部から持ち込まれた外来種によって
減ってしまったということも
彼らの健康に悪影響を及ぼしました。
 
その上、人口増加に伴う
土地の開発も彼らの環境を
変えてしまいました。
 
19世紀初頭にヨーロッパから
貨物などに付着してハワイ諸島へ
持ち込まれた蚊が媒介する
鳥マラリアがミツスイの
減少を加速させているそうです。
 
昔はミツスイが生息する高地に
蚊はいなかったのですが
温暖化によって
蚊がより高いところまで
上がっているため、
鳥マラリアの感染が広まっています。
 
現在、カウアイ島とマウイ島に棲む
4種のミツスイの状況が特に深刻で
何もしなければ年内に絶滅する
可能性があるという
緊急事態にあります。
可愛い鳥がいなくなるという
だけではなく、
ハワイの環境のバランスが
くずれてしまう、そんな事が
問題視されているのです。
 
そんな中、マウイ島の研究者たちが
対策を取り始めました。
まずは害虫をコントロールし、
在来品種の植物を植えることで
2019年頃には改善の兆しが
見えてきました。
 
そこで当時すでに150羽まで
減っていた品種のミツスイを
試験的にマウイ島のある地域に
解き放ったのです。
対象の一帯はもともとその品種の
自然な生息地だったこともあり、
かなり期待に満ちた試みだった様です。
 
しかし、残念ながら、ひと月足らずで
鳥たちが死んでいったのです。
原因は鳥マラリア。
蚊が媒介となって感染します。
世界的にはずっと昔から存在する原虫ですが、
ハワイでは20世紀中ごろから
現れ始めました。
 
鳥マラリアに感染した鳥は
数週間で死んでしまうため
繁殖の機会を失い、
次の世代を残せずに消えてゆきます。
 
そんな中、鳥の保護団体
Birds, Not Mosquitos
画期的な対策を取ります。
それは、蚊の繁殖を抑えて
鳥マラリアを広げる蚊の数を
減らしてしまおうというもの。
そのやり方がまたすごいのですョ。
ちょっと聞いてください。
ビックリしました。
 
まずですね、鳥マラリアを
媒介する蚊というのは
腸の中にウォルバキアという
細菌(Wolbachia)を
持っているのですが、
繁殖するには
オスとメスが同じタイプのウォルバキアを
保持していないといけないそうです。
 
なのでこのプロジェクトでは
外部から別のタイプの細菌を持っている
オスの蚊を大量投入し、
島にいるメスの蚊と交わっても
繁殖が成功しないようにするのです。
 
ちなみにオスの蚊は
人も動物も刺さないそうですから
沢山増えてもそういう心配は
しなくても良さそうです。
 
大量投入される蚊は
アルファベット社のラボで
繁殖されているそうです。
 
いわゆる蚊の避妊プロジェクトですが、
実際に中国やコロンビアなど
世界の14カ国でデング熱やジカ熱などの
対策のために実施された試みだそうです。
 
このプロジェクトは
2023年11月に開始し、
カウアイ島とマウイ島の
対象地域に沢山の蚊が
解き放たれています。
 
マウイ島の場合、東マウイの
約3000エーカーの上空から
ヘリコプターで週に二回、
25万匹の蚊をカプセルに詰めて
落としているそうです。
一つのカプセルは
大体マンゴーくらいの大きさで
それぞれ1000匹の蚊が
詰まっており、使用済になると
生物分解されます。
 
対象地域の蚊がほぼ全滅するまで
続けられる予定ですが、
20年間とか、そういう単位の
実施期間のようです。
 
実施している間、研究者が常に
現状をモニタリングしていますが、
それもなかなか大変そうです。
放出した蚊の行動範囲などを確認するために
蚊を捕まえ、小さな筒に入れて
それがオスなのかメスなのか
目視で確認しているようです。
気の遠くなるような作業です。
 
非常に画期的なプロジェクトですが、
反対する人もいたので
実施にこぎつけるまでは
中々大変だったようです。
 
現に今も引き続き反対する人々がいます。
私の周辺にもいます。
コロナワクチン反対派や、
昨年の火事に関して
怪しい陰謀論を唱える人も
いますから、
こういったプロジェクトに
反対する方々がいるのも
当然でしょう。
 
彼らの言い分では、
ラボで繁殖された蚊を
自然界に解き放つことによる
環境や生態系への影響を
もっと調査するべきだとか、
間違ってメスの蚊が
解き放たれてしまう事への心配とか、
大量に落とされたカプセルの
影響とか、様々です。
 
こういったプロジェクトには
予期できない事態が起きる
可能性もあるので
反対したい気持ちもわかります。
とはいえ、今、何もしなければ
年内に絶滅してしまう
ミツスイの品種があるので
素早く行動しないといけません。
 
今後、どういう結果が出るのが
非常に興味があります。
 

さて、こんなお話について

動画でご覧になりたい方、

コチラをどうぞ。

英語ですが画像を見るだけでも

現況についてのイメージが湧くと思います。

下矢印下矢印下矢印

 

本日もご訪問ありがとうございました!

 

では、ババ~イ❣