ネクタイ理論
「ネクタイ理論」、俺がスタッフに教えるときにつかう造語です。
相手と話したあと、ネクタイの色って覚えていますか?
案外覚えていないものです。どんな靴はいていたとかね。
でもあらかじめ「ネクタイの色を覚える」と意識して相手と会っていればそれを実行することは実にたやすいことです。
スタッフには「とにかくお客さんをよく見ること。ウォッチングがホールワークのすべての基本」と教えています。
飲食店内でお客さんが取る行動パターンというのは実に限られていて、よく見てさえいれば容易に次の行動が予測でき、先手を打ったホールワークが可能になるからです。
お客さんにとっても「かゆいところに手が届くサービス」になるし、スタッフとしても先を読んで行動できたほうがずっと仕事が楽になるのです。
しかし、目的意識を持たずにホールに立っていても何の意味もありません。
お客さんが何をしたいのか、呼ばれる前に予測してやろう、そういう意識がなければ何も見えていないのと同じなのです。
そこでスタッフに話すのが冒頭の「ネクタイ理論」なのです。
これを話すと言わんとすることをわかってもらえます。
もちろん俺自身もこれを意識して行動しています。
たとえば街を歩けばたくさんの情報や仕事のヒントが転がってます。
が、ぼーっと歩いていたらなにも見えません。
目的意識を持ってはじめていろいろなものが有益に見えるようになってきます。
もっとも「ネクタイ理論」のような話は一回説明して理解させること自体は簡単なのですが、肝心なのは何度も、常に言い続けることなんです。これが難しい。
でも言い続けないとすぐに意識しなくなっちゃうんですよ、スタッフというのは。
これを毎回口をすっぱくして言い続けること、こっちのほうが根負けしてやらなくなっちゃうんですね。