カルテNO0336病院

漢方医人列伝 「多紀元簡・多紀元堅」

東アジア学総合研究所 准教授 町 泉寿郎
 参照
 
【多紀元簡の伝記】
 多紀元簡は
宝暦5年(1755)に幕府医官である
多紀家第6代の元悳の長男として
江 戸に生まれました。
 
祖父は8代将軍吉宗の御匙(主治医)を勤めた多紀家5代元孝です。
 

弟には
 
幕府医官湯川家を嗣いだ安貞と安道
鍼灸の医官山崎家を嗣いだ安粛がいます。
 
 
 元簡は、幼名は金松、通称は安長といいました。 
 
 
元簡が11歳の明和2年(1765)
祖父元孝が幕府に申請して神田佐久間町の天文台跡地 を貸与され
医学館を創設します。
 
 
このとき、父元悳の友人であった井上金峨という儒者
 

が学事顧問として参画しました。
 
 
元簡は父元悳や目黒道琢について医学を学び
井上金峨
について漢学を学びました。
 
 
創立当初の医学館に対しては
幕府典薬頭である半井家・今
大路家らから度重なる妨碍がありましたが
 
 
若くして医学者として頭角を顕した元簡は
 
 

父を支えて医学館の教育と研究に尽くし
素問・霊枢・難経・傷寒論・金匱要略・本草の
いわゆる「六部書」を中心とした古典重視の医学教育が
ここに確立しました。
 
 
臨床家と しても優れ
36歳には奥医師に昇進しました。
 
 
寛政3年(1791)に医学館が幕府の直轄
医学校となったのに伴い
元簡は世話役(現在で言えば国立医科大学教授)として
 
 
重立
世話役(現在で言えば国立医科大学長)となった父を支え
父の没後は重立世話役を継承し
 
 
文化7年(1810)12月2日に56歳で急逝するまで医学館を率い
その教育と研究 の基礎を固めました。
 
 
 
 

第六十九難(取穴法)

第六十九難

【通釈】

六十九の難にいう。

古医書に

 

「虚は補い実は瀉し

虚せず実せずはその経を治療する」

とあるが

これはどのような意味か。

 

 

答えていう。

虚していれば

 

その母の経の中の母の経穴を補う。

実していれば、

その子の経の中の

子の経穴を瀉す。

 

 

これは先に補ってから後に瀉法するのが原則である。

 

 

病証の虚実(三十三難参照)が現れていなくて

精気の虚に正経自病の原因(四十九難算用)が加わった程度であれば

その経を補うだけでよい。

 

 

これは外邪によって発病していないのであれば

病証に虚実が現れていないから

その精気が虚している経だけを用いる

という意味である。

 

【解説】

一、虚すればその母を補う

 たとえば肝経が虚しているとする。

このときに肝経の母にあたる経脈

つまり腎経から補う

ということである。

 

また各経脈には五要穴がある。

これも五行に別れているので

この五行穴の中で母にあたる経穴を用いる

というのである。

 

 

 肝虚証であれば腎経を用いるが

腎経の中の水穴を補うことになる。

 

 

また肝経の中の水穴を補ってもよいとも解釈できるので

通常は肝経の水穴と腎経の水穴を用いることになる。

これは五十難でいう虚邪に対する治療穴になる。

 

 

二、実すればその子を

 たとえば

肝実だとする。

 

 

このときに肝経の子にあたる

経脈の心経を瀉法する。

 

また

 

これを五行穴の中でも応用するから

心経の中の火穴と肝経の中の火穴を瀉法することになる。

これは五十難でいう実邪に対する治療穴である。

 

 

三、実せず虚せずは経を以て取る

 たとえば「●怒の気逆上して下らざれば肝を傷る」という。

これは体質として肝虚の人が

その精気の虚を怒ることによって益々虚させてしまい

血虚にまですすんだということである。

 

 

このようなときは外邪は関係なく

他経に伝変することもない。

 

そのために精気の虚

つまり肝虚のみ補えばよい

というのである。

 

 

 実せず虚せずという字句は

三虚三実の区別はない

という意味の虚実である。

 

 

精気の虚がないと言っているのではない。

 したがって

この場合は正経自病であり五十難でいる正邪なので

その経の自穴を主に用いることになる。

 

 

四、選穴のまとめ

 以上の選穴法と臨床を加味した

選穴をまとめると以下のようになる。

ただし補穴のみとする。

 

肝虚陰虚熱証=湧泉、陰谷、太敦、曲泉

肝虚陽虚寒証=太とん、太衝

脾虚陰虚熱証=労宮、大陵、太都、太白

脾虚陽虚寒証=大陵、太白

肺虚陽実熱証=太白、商丘、太淵、経きょ

肺虚陽虚寒証=太白、太淵

腎虚陰虚熱証=経きょ、尺沢、復溜、陰谷

腎虚陽虚寒証=太淵、太けい

参考文献

難経精義:池田政一著より

 

 

経絡治療において

この要穴を覚えるのは

大切な事ですが・・・

 

 

深く論を進めてゆくと

この取穴には意味があり

 

 

それは

漢方薬の五味五性と

相関する

 

 

 

五味とは

味に関わる性質のことで

五臓とも関連がある。

 


①酸(さん)→引き締める作用があり(経絡の作用)

出てしまうものを抑える働きがある。

五臓:肝

 


②苦(く)→堅める働き(経絡の作用)

余分なものを除去する作用があり

熱を冷ましたり水分を排出する。

五臓:心

 


③甘(かん)→緩める働き(経絡の作用)

血を補って筋肉の緊張を緩めたり

痛みを取る働きもある。

五臓:脾

 


④辛(しん)→散る働き(経絡の作用)

停滞していた気血の流れをよくする。

五臓:肺

 


⑤鹹(かん)→軟らかくする(経絡の作用)

固まっているものを

やわらかくして降ろす作用がある。

五臓:腎

 

 

 

五性(補瀉に相関
五性とは温度に関わる性質のこと。


①寒(かん)→冷やす性質が最も強い。

水分を補い、炎症を鎮め、毒を排泄する効果もある


②涼(りょう)→控えめだが冷やす性質があり

体の活性を鎮める効果もある。

 


③平(へい)→温めることも冷やすこともない

穏やかな性質。

 


④温(おん)→温める性質があり

体を穏やかに活性させる。

 


⑤熱(ねつ)→温める性質がもっとも強い。

汗をかいたり興奮するような性質もある。

 

 

応用すると

肝虚の場合

 

酸(さん)→引き締める作用があり(経絡の作用)

⑤熱(ねつ)→温める性質がもっとも強い。

 

 

これによって

肝虚を補うことが出来る

 

 

広島部会では

葛根湯や

芍薬などの

性質を経絡的に考え

 

 

鍼灸治療と

漢方治療の

両面から考えています

 

 

今日はここまで

 

 

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