土井たか子ではないが、いま似たような思いでいる。つい1年前は、「山を動かさなければいけない時」と感じていたが、それが実際に動くんだというものへと変化しつつある。
まず、実際の変化がある。私が共産党を提訴して以降、いろいろな方が私を支援することを明確にしてくれた。内田樹さんが私の「応援隊」の顧問となってくれたことに始まるものだが(内田さんが呼びかけてくれたカンパは初審費用分は集まりつつあります)、除名されて1年間、おおやけの場で態度を明確にしてこなかった池田香代子さんも私との対談に応じてくださった。その場には、なんと川人博弁護士が出席し、裁判の意義を明確に語ることになる。つい最近、昨年末に「赤旗」1面分を使ったインタビューに登場した伊藤真弁護士も登場してくれたし、その場には元足立区長の吉田万三さんまで加わった。
学者、文化人、弁護士などはたくさんいるし、そのうちの数名い過ぎないではないかという考え方もある。「赤旗」にはもっと多くの人が登場しているので、何の変化もないという人もいる。
しかし、狭い世界からの感想かもしれないが、私には巨大な変化が始まっているという実感がある。だって、私への支援を明確にすると、「権力と結託して共産党攻撃、共産党破壊に狂奔している松竹の仲間だ」と言われ、「赤旗」に出禁になることをはじめいろんな仕打ちがあるのだ。そういうなかで、これだけの人が明確な態度をとってくれた。すごいことだと思う。
もちろん、これだけでは終わらない。私への支援は明言できないが何らかのかたちで協力してくれる人、まったく水面下でしか動いてくれない人など、いろいろな人がいる。今後オモテに出せるものも出せないものもあるが、その成果は期待してほしい。
この変化を支えているのは、いま書いたこととも関連するが、支援のかたちの多様性である。党から出禁になったからといって困らない人の公然とした支援もあれば、それを気にしながらも腹をくくった人もいる。たいへん大事な役割を果たしてくださっているが、私が裁判で勝利し、この問題が終局しても、最後まで名前を出さない人もいると思われる。
しかし、そういう多様性があって(党との関係の多様性でもある)、それが何とか協力しあってくれているから、現実を動かす力になるのではないか。そのなかには、私の安保自衛隊論など問題外だという人もいれば、私の性格がイヤだというひともいるだろうけれど、「この事態を何とかしないといけない」という強い想いで、その私への異論を押さえて(私に対しては堂々と批判を加えているわけなので封印しているわけではない)、大事だと思うことのためにがんばってくれているのだ。
一方で、「この山は動かない」と言う人もいる。つぶすしかないという立場の人もいる。不破哲三氏が「共産党がなくても政治は変わる」と明言する時代だから、動かすよりもつぶすほうが先進的な考え方かもしれない。でも、それって、あまりに先進的すぎて、私をはじめ多くの人は付いてくることができない。
私の人生における狭い体験が教えてくれるのは、実際に結果としてつぶすしかないものであったとしても、「変わる」という立場でアプローチするのが大事だということだ。だって、つぶすというアプローチでは、それに賛成する人しか参加できず、いきおい集まる知恵も意欲も限定されるからだ。正反対の考えをもつ人が協力し合ってこそ、つぶすことが避けられない場合も、痛みの少ないやり方が見えてくるはずだ。それは同時に、つぶさないで再生するやり方にもつながってくるのではなかろうか。
異なる考え方をもつ人を糾弾し、つぶすようなやり方は、いまの共産党が採用しているやり方であって、その道を進む限り、新しい道は見えてこないだろう。ほくそ笑む人の顔が浮かんでくる。
だから私は「こんな連中」を大切にしたい。けれども、分裂するならするで、それを新しい連帯のエネルギーに変える方策を模索していきたい。どんな場合も、いま自分の置かれている状態がもっとも望ましい状態だ、だから未来への展望があるのだというのが、私の信念でもある。
なおYouTube動画で「今週の『赤旗』」をアップしました。文化欄にある「朝の風」が、沖縄県議選挙を総括すべきだと主張していたので、それに対する共感を述べました。チャンネル登録の上、ご視聴ください。