前号「九条改憲反対を国民的規模でたたかうために」に関連して

 

 本誌の前号に標記の論文を寄稿したところ、多くのご意見が寄せられました。そのなかには、憲法や自衛隊の問題で日本共産党の見解が変わったのか、などの疑問も寄せられています。

 前号論文の基本的なねらいは、自衛隊をめぐる問題での意見の違いをこえ、海外における武力行使をめざす国づくりに反対する一致点で、憲法九条改悪反対闘争をひろげようとするものでした。

 ところが、前号論文のなかには、自衛隊が憲法違反であると明記された筒所がありません。それを明記しないまま、「自衛権や自衛隊に反対しているわけではありません。むしろ、自衛隊は活用しようというのが、私たちの現在の立場です」とのべ、海外で戦争する国にすることに反対する一致点をつくろうと提起しています。これは、自衛隊は違憲であるという見地を堅持し、それを一貫して主張すべきとする日本共産党の基本的な見地と異なるものでした。

 党綱領は、憲法と自衛隊の問題で、次のようにのべています。

 「自衛隊については、海外派兵立法をやめ、軍縮の措置をとる。安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法第九条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる」

 ここには、〝第九条違反〟という認識と、〝自衛隊の解消によって第九条の完全実施にすすむ〟という目標」が「はっきりと書かれて」います(第二十三回党大会での綱領改定報告)。

 私は、前号論文で、日本共産党が「憲法九条を将来にわたって堅持するという方針」であること、「九条の文面どおり、戦力(常備軍)を必要としない時代がやがてはやってくる」ことなど、自衛隊解消の問題を強調しています。しかし、自衛隊解消の一般的な強調にとどまり、憲法違反だから解消するのだという見地が明記されていなかったことは、正確ではなかったということです。

 もちろん、前号論文でも指摘しているように、九条改悪反対のたたかいは、そういう認識を一致点として求めるものではありません。自衛隊をめぐる問題での意見の違いをこえ、海外で武力行使する国づくりに反対することで共同をひろげるものだということは、あらためて強調しておきたいと考えます。

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 以上が、「議会と自治体」2005年6月号に掲載された、私の「自己批判」である。この直前までは別の論点での自己批判を求められていたのだが、そんな自己批判はできないと拒否したところ、「じゃあ、自衛隊は憲法違反だと明記していないことを自己批判しろ」と言われ、明記していないこと自体は事実なので、応じることにしたのである。それから10年以上経って、自己批判を求めた志位氏が自衛隊合憲論をぶち上げるなんて、当時は想像もできなかった。

 

 その顛末をもう少し書いて、この連載は終わろうと思っていたのだが、まだ続けることにした。いま共産党内では、SNSでの異論の表明の摘発と自己批判要求が頻発しているが、それを乗り越える上でも私の経験は大事だと思ったからだ。では明日以降に。(続)

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