さて、ようやく「前衛」臨時増刊号の「赤旗」中祖政治部長の発言を論じていく。この発言は、直前に行われた除名問題での神奈川の大山代議員の発言への糾弾として組織されたものであるから、両方を論じることになる。

 

 まずは第一印象だが、中祖氏は大山氏の発言をまともに読んでいないのではないか。頭に血が上って、自分が何を発言しているのかも理解できていないように見える。

 

 「前衛」臨時増刊号を入手してようやく大山発言の全文を読めることになったが、この発言ポイントの1つは、冒頭から「私は、松竹氏の著作をまだ読めていません」とあることだ。それが事実かどうか私は知らないが、それが前提になっていることだ。

 

 なぜそれを冒頭に置いたかというと、私の除名問題を党員や有権者に理解してもらおうとすれば、読まないでも分かる論理が必要だからだ。そういう見地に大山氏は立っている。

 

 なぜかと言えば、党が「異論だから除名したのではない」と説明しているからである。それなら、その異論の内容を説明しなくても、ちゃんと除名の理由が国民に理解できるものでなければならない。ところが党の対応はそうなっていない。大山氏曰く、

「除名したことについて、異論を唱えたからではないとくり返しわが党の見解が報じられていますが、そのあとに続く論には、松竹氏の論の中身の問題が熱心に展開されますので、やはり『異論だから排除された』と思わせてしまうんです。」

 

 これは現場の党員の共通の見方だと思う。それを何とかしてほしいと、党指導部に願っているのだ。党の幹部というのは、現場の党員が要望すれば、それに誠実に答えるのが役目だろう。

 

 とりわけ中祖氏は、私の除名問題で中心的な役割を果たしたのだから、「松竹の本を読んでいなくても除名の正当性を党員、有権者に理解してもらうにはこうすればいいのだ」と答えなければならなかった。

 

 それ以前に、「異論をもったから除名したのではない」という党の方針に忠実に従い、せいぜい1000字程度のコラム「読まなくてもわかる除名の正しさ」でも書いて、「赤旗」で記事にすべきなのだ。政治部長なのだから、そんな程度のことはお茶の子さいさいだろう。

 

 ところが、中祖氏の発言の大半は、私の異論(安保自衛隊論)への批判なのである。そして、「(除名問題で)機敏な対応をしたのは、先ほど述べたような出版内容の重大性、安保容認、自衛隊合憲を党の基本路線にして、党の根本路線を否定し解体をもたらす議論だったからであります」と言うのである(この間違いについては連載の後半で論じる)。

 

 あちゃー、やっぱり「異論をもったから除名したのだ」というのが、中祖氏の発言の核心なのだ。これって、大山氏の要望に応えていないのはもちろんなんだが、「異論をもったから除名したのではない」という党の基本的な考え方を否定しているのである。

 

 いやあ、人間、頭に血が上ると、ろくなことにならないね。(続)