2面に藤野保史前衆院議員の「国は『住民が主人公』の支援を」と題するインタビューが載っている。藤野氏は共産党が石川県羽咋(はくい)市に設置し、民主団体と協力・共同して運営する「能登半島地震被災者共同支援センター」の責任者をしているそうだ。とても大事なお仕事なので、健闘を祈っている。

 

 記事の大半は復旧が進まない現状、食料を含む物資の不足、避難所などの劣悪な生活環境の告発と国の課題を提示したものだ。その通りだと思うし、是非、先頭に立ってがんばってほしいと思う。

 

 インタビューで着目したのは、「国の責任」を強調しつつ、政府が言う「復旧の困難さ」を藤野氏自身も認識している下りである。こう述べている。

 

「私たちも現地にいますから、政府が言うような復旧の困難さは十分認識しています。しかし、すでに2カ月たつ中で、その困難さを乗り越えなければ被災者が求める支援にならないこともはっきりしてきました。岸田文雄首相『能登の特性に合った対策』を打つと言い、『できることは全てやる』と言っているのですから、目の前の困難を乗り越える対策を打ちだすことが国に求められています。」

 

 実際、報道で接する限りでも、能登半島特有の困難さがあると感じる。過疎地ということでは東日本のいくつかの場所と共通しているが、集落が孤立して点在していることなどが、支援を難しくしていることは分かる。それが復興の困難さにもつながると思われる。

 

 問題は、藤野氏が岸田首相の「能登の特性に合った対策」を肯定するなら、党として具体的な対策を積極的に打ち出していけるかだろう。「目の前の困難を乗り越える対策を打ちだすことが国に求められて」いるのだが、党が打ち出せれば意味がある。

 

 例えば、いま能登で困っている水の問題がある。なかなか水道の復旧が進まないなかで、「トイレトレーラー」が注目されたりもしている。

 

 復旧が進まない原因の一つに、今後のことを考えると下水管の耐震化が重要なのだが、それをやろうとすると時間と費用がかかりすぎる問題があることが指摘されている。それに対して北陸中日新聞(24.2.27)は、東日本大震災で被災し復興段階で下水管を手放し、短期間で設置できる合併処理施設に切り替えた石巻市の雄勝地区の例を紹介している。土木学会も今年2月に提言を公表し、能登半島の復興に向けて、家庭や集落単位で完結する新たな上下水道設備の検討を促したそうである。

 

 共産党はそういう政策提言が得意なはずである。是非、いろんな英知を集めてほしい。