最後に、党大会における共産党京都南地区委員会の河合秀和委員長の発言である。私がその場にいないと思って言いたい放題だ(処分を決める会議への出席が伝えられなかった問題は、昨日と同じなのでくり返さない)。

 

 まず私が昨年2月2日の調査で「自衛隊容認論を繰り返し」たことを問題にしている。私は、志位委員長が自衛隊活用論や政権合憲論、日米安保条約第5条発動論をくり返していることを指摘し、それに従って具体化したことを主張した。だから、志位氏がくり返した分、私もくり返したのだから、当前そうなるである。私の発言が除名対象なら志位氏も同じく除名になるべきだろう。

 

 河合氏は、「(松竹氏は)一度も支部会議でも持ち出したことがない『党首公選論』を執ように繰り返しました」と述べている。これにはあきれかえった。調査から1年経って、河合氏の頭の中では、事実と妄想の区別がつかなくなっているのではないか。

 

 河合氏が言っているのは、「除名処分決定書」が「松竹伸幸氏は、自身の主張を、党内で、中央委員会などに対して一度として主張したことはないことを指摘されて、『それは事実です』と認めました」としていることが根拠になっているのだろう。しかし、この調査の音源の18分30秒あたりを聞いてもらえば、ことの真相が分かる。

 

 まず京都府委員会の宮下雅之副委員長がこう聞いた。「党内のことは党内でも意見を中央委員会を含めて全て出すことができる、こういう規約に照らしたときに、……一度として党内的に意見を上げたことがない……。それは事実なんですか?」

 

 誰が見ても、この質問の意味は規約5条6号「中央委員会にいたるどの機関にたいしても、質問し、意見をのべ、回答をもとめることができる」を指している。「機関にたいして」意見をあげたのかという質問だ。

 

 私は所属する支部のなかでは自衛隊活用論であれ党首公選論であれ、活発に意見を述べていた。たいへん自由な支部なのである。私は支部内で一度も志位氏退陣を求めたことはないが、支部委員のなかにはそう主張する人もいた。そんな支部なのである。

 

 しかし、私は機関に対しては意見はあげていない。だから、宮下氏の質問に対して、こう答えたのだ。

 

 「それは事実です」

 

 それなのに、昨年2月6日付の「除名処分決定書」では、「党内で、中央委員会などに対して一度として主張したことはない」とされ、支部も含む「党内で」私が意見を述べていないような書き方をされた。詐術のようなものだ。しかも、音源を裁判で提出して問題になったときに備え、中央委員会などの機関のことだと逃げられるような微妙な言い回しにしつつ、「赤旗」しか見ない党員には「党内で」となっているから、支部内でも意見を述べなかったと錯誤させる卑怯なやり方であった。

 

 ところが、それから1年が経ち、河合氏の頭のなかでは、もうこの調査の内容の記憶がなくなっているらしい。私が党支部内で何の意見も述べずに本を出したという記憶にすり替わってしまっている。党員を除名することがひとごとのようになっているのではないか。

 

 また河合氏は、私に対して除名を決めた10分後に毎日新聞からその確認の電話が来たことを紹介している。そして、「マスコミとも連携した動きであったことは議論の余地がない」と断じている。

 

 これについても調査の音源を聞いてほしい。除名の直前、小池書記局長が私の処分は地方機関が検討していると記者会見で述べたこともあり、私はマスコミから処分はどこが決めるのかとか、誰に電話すれば報道に耐えうる事実が確かめられるのかとしつこく聞かれていた。党中央の様子を見てい処分決定の予定稿が出来ており、あとは事実確認して出稿することになっていたみたいだ。だから私は河合氏に対して、そういう事情を説明した上で、規約上は地方機関が決めることになっているが、今回の問題では党中央が主導しているので、どちらに聞けばいいのかと尋ねたのである。

 

 それに対して河合氏が、音源の3分10秒あたりだが、「最終的に決めるのは、南地区委員会ということになります」と答えたので、新聞記者にはそう伝えたのである。事実を大切にするメディアは、事実にうるさいのである。事実を歪めても平気な共産党中央や南地区党とは違うのだ。

 

 なお、河合氏は発言の冒頭で、「地区常任委員会が調査することを支部と合意して進めたものであります」と述べているが、これだけは「除名処分決定書」からは前進している。「除名処分決定書」では、「(除名処分は)当該職場支部委員会の同意のもと、党規約第50条にもとづき、南地区委員会常任委員会として決定したものです」と、あたかも除名処分に支部が同意したかのような虚構で成り立っていた。だから私は、これが送られてきたあと、京都の党には抗議したのだが、修正されなかった。

 

 今回、それがあくまで「調査すること」に限定した支部との合意とされたので、少しは前進なのだが、事実とはほど遠い。だって、地区が調査することに同意するかについて、支部会議も支部委員会も一度も開かれておらず、何の議論もされていない。地区委員長が一人の支部委員の同意をとりつけただけにすぎない。「党の意思決定は、民主的な議論をつくし、最終的には多数決で決める」(規約第3条1号)のであり、そうやって決まってこそ決定なのである。規約はふみにじられたままである。

 

 なお、私の除名が決められてしばらく経ってから、支部では河合地区委員長を呼んで私の問題を議論した。支部の党員からは除名に反対する意見が相次ぎ、「早すぎた」「重すぎた」という点ではほぼみんなが一致したことは伝えておく。支部で処分を議論することになっったら、間違いなく否決されていただろう。

 

 河合さん、党中央だけでなく、南地区党の責任者であるあなたも、私が提起する裁判の被告の一人である。裁判では代理人弁護士に任せず、堂々と出廷してくださいね。(了)