山下報告が最後に述べているのは、いわゆる分派問題である。私は、山下氏と異なり、相手の論点を歪めたり、都合のよいところだけを抜き出すやり方は好まないので、まず全文を引用する。

 

「第三に、『除名処分決定文』は、松竹氏が、わが党に対して『およそ近代政党とは言い難い「個人独裁」的党運営』などとする攻撃を書き連ねた鈴木元氏の本を、中身を知ったうえで、『同じ時期に出た方が話題になりますよ』と出版を急ぐことを働きかけ、党攻撃のための分派活動を行ったことを批判した。

 

 それに対して、松竹氏は『再審査請求書』のなかで、『話題を高めて売り上げを伸ばすため』などと弁明しているが、『事実関係については、私は否定するつもりありません』『「同じ時期に出た方が話題になりますよ」と述べ、執筆を早めてもらったことも事実です』と事実関係について認めている。

 

 松竹氏は「分派を禁止する規定は…現行規約からは外された」と主張している。しかし、党規約第3条は、民主集中制の基本として「党内に派閥・分派はつくらない」と明記している。これが分派の禁止であることは明瞭であり、松竹氏の主張はまったく成り立たない。」

 

 山下報告は全体が「三つの非(非常識、非論理、非事実)」で埋め尽くされているが、この箇所ほどそれをあらわしている箇所はないだろう。これでは、私が分派の「事実関係について認めている」ようではないか。

 

 私が認めた事実関係は、鈴木氏に対して「同じ時期に出た方が話題になりますよ」と出版を急ぐことを働きかけたことである。しかしそれは営業上の理由であって、分派を形成したことにはならないと主張したのである。

 

 処分のために行われた京都府委員会と南地区委員会の調査の音源を私のHPに載せているので、それを聞いていただければ分かるが、私がそう主張したのに対して、参加していた京都府委員会の宮下副委員長は、「そうですよね、販促の観点で行ったのですよね」と納得し、南地区委員会の河合地区委員長も黙ったままだった。しかし、除名のためには私が分派を形成したことは譲れなかったのだろう。その後、調査者が新たに主張してきたのは、私が本の中で党首公選の主張を支持してほしいと書いていること自体が、全国から分派を募る行為だという論理であった。顔も見たことがなく、会ったこともない党員との分派を認定しようとしているのかと、啞然とせざるを得なかった。

 

 だから私は、党はあくまで私の分派を認定してくるだろうとは思った。しかし、鈴木氏との分派という主張はひっくり返せたので、迷惑をおかけしなかったと安心していたのである。ところが、誰が事実関係を歪めたのか(京都府委員会の意向を覆せるのは中央委員会しかなかろう)、発表された「除名処分決定書」では、私と鈴木氏が分派を形成したことになっていたという経過である。

 

 そこまで無理をしてでっち上げた分派認定だから、それに続く箇所も無茶苦茶な論理になっている。(続)