〈月刊誌『文藝春秋』の1月10日発売号に私と佐藤優さんの対談が掲載されています。タイトルを見ると除名問題がテーマのように見えますが、最大の注目点は共産党の破防法指定問題です。ショート動画を作成しましたので、視聴して関心を持たれたら書店へどうぞ。〉

 

日本共産党第二九回党大会代議員各位

除名処分の再審査請求書第Ⅳ部

二〇二四年一月一一日 松竹伸幸

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 二〇二三年二月五日、京都南地区委員会によって除名(翌日に京都府委員会が承認)された私は、党規約第五五条(「被除名者が処分に不服な場合は、中央委員会および党大会に再審査をもとめることができる」)にもとづいて、党中央委員会宛に除名処分の再審査請求書(第Ⅰ部から第Ⅲ部)を提出し、第二九回大会での再審査を求めています。その後、新しく判明した事実により、求めが正当であることが証拠づけられたので、第Ⅳ部としてその事情を申し添えます。

 

1、党中央委員会は昨年一二月二七日、党大会に向けて党員が寄せた「大会決議案への感想・意見・提案」を、「しんぶん赤旗」の「党活動のページ」の臨時号として刊行しました(以下、「討論誌」)。私の除名処分への異論も掲載されています。そのなかの一つに、「党建設と党規約にかかわって」と題する京都の党員の意見が載せられていますが(第二分冊二七ページ)、その一節に次のような記述があります。

 「二〇二三年二月五日に京都南地区常任委員会が松竹氏の除名処分を決定し、翌日六日に京都府委員会常任委員会が承認し、処分が確定しました。私はこの処分直後に、ある中央本部勤務員に対し『処分が性急ではないか』と意見を送りました。しかし、その方からは、松竹氏の処分は性急ではなく以前から集団的検討をしていた主旨の返事をもらいました。」

 

2、まず、私の除名処分の経過に関して、この党員が書いている党中央の対応が事実かどうかです。これは事実だとみなせるだけの根拠があります。

 「討論誌」への党員の寄稿に関しては、「しんぶん赤旗」(二〇二三年一一月一六日付)において、党中央委員会書記局の「討論への参加要項」が示されています。そこでは、「決議案と無関係のもの、誹謗(ひぼう)・中傷に類するものは、掲載しません」とされています。事実関係に誤りがあるものも当該規定に反するとされ、実際に、党中央から電話やメールなどで訂正が求められたり、掲載が不許可とされている事実が存在します。討論誌に当該意見(「党建設と党規約にかかわって」)を掲載するに当たっては、対応したとする党本部勤務員への聞き取りなどがされ、事実関係が確かめられたはずです。意見が掲載されたことは、「松竹氏の処分は……以前から集団的検討をしていた」という事実関係に誤りがなく、そう返事をしたとされる党本部勤務員に対する誹謗・中傷にも当たらないと判断されたということです。

 

3、この意見を寄せた党員は、私の除名処分の承認(二月六日)直後に、党本部勤務員に意見を寄せたと書いています。その際、「松竹氏の処分は……以前から集団的検討をしていた」と返事があったということは、私が『シン・日本共産党宣言』を刊行したのは、処分のわずか一七日前の一月一九日のことですから、その「以前」から中央委員会で私を処分することを「集団的に検討」していたことになります。

 これは私の除名理由の根幹を揺るがすものです。二三年二月六日付で公表された除名通知書(京都南地区常任委員会)は、私の除名理由を四つにわたって述べています、そのどれもが『シン・日本共産党宣言』に直接に関わることです。そこで主張した内容が綱領・規約に反すること、それと同時期に鈴木元氏の本を刊行したのが分派に当たること、その内容を伝える意見を党機関に述べなかったことが除名理由であり、この図書が刊行されなければ除名問題で党が揺らぐようなことはなかったと、代議員のみなさんは理解していると思います。しかも大事なことは、私の除名は京都の党の決定によるものでしたが、実際には党中央の「集団的検討」が先行していたということです。

 

4、私の除名が図書の刊行以前から「集団的に検討」されていたなら、図書の刊行のみを理由とした除名は成り立たなくなります。図書の刊行が除名の検討から実施への動機づけにはなったかもしれませんが、党中央はそれ以前から私の何らかの言動が処分に値すると考えていたということであって、理由を図書の刊行のみに関連づけて除名を強行したのは、実際の除名理由を正しく説明するものではありません。正確さを欠く理由で党員を組織的に排除することは、「除名は、党の最高の処分であり、もっとも慎重におこなわなくてはならない」という党規約(第五四条)の精神を著しく踏みにじるものです。

 

5、私は一月一〇日、党中央委員会に対して、この問題に関する個人情報の開示請求を行いました。請求した内容は、私に対する処分が「性急ではなく以前から集団的検討をしていた」ことがわかる全ての資料(当該「返事」の具体的な内容及び関連資料、返事を行った担当部署、返事がなされた日時、返事を行ったことに関する報告資料等を含む)です。

 これらの情報が開示されることは、私の再審査請求書が配布されることとあわせ、大会での再審査にあたり代議員のみなさんが正確な判断を下す上で欠かすこととができません。大会では是非、これらの開示を大会幹部団に求めて下さい。その上で、謎の多い私の除名処分の可否が本格的に議論されるようにするため、その審議・決定を私が所属していた支部に差し戻す決定を行うよう、大会幹部団に働きかけて下さい。