除名されて良かった?ことがある。全国の党員から、自分が属している党支部の状況をリアルに教えてもらうことができたからだ。

 

 私は長く党本部に勤務していた時期があるが、ずっと政策委員会だったので、支部に入っていっしょに活動するのは、居住支部での「赤旗」配達・集金を除くと、地方選挙などの際のオルグに限られていた(国政選挙の場合は政策づくりや論戦対応があった)。当時から(もう20年も前だが)、支部に入ってみると、党籍はあるがいろいろな理由で党活動をしていない人が少なくないので、私の仕事のほとんどは、そういう党員を訪ね、事情を伺い、どんな党活動なら可能なのかを話し合うことになった。

 

 そうはいっても、選挙の何年かに一度のことである。その後、退職することになったが、属していた経営支部は、ほとんど全員が元気に活動しており、支部会議の参加率も高く、私も欠席することはなかった。私にとってそれが党の通常のあり方だった。そして、民主集中制の現在の党中央の解釈では、他の支部と連絡を取り合ってはならないことになっているので、他の支部が抱える問題に触れる機会はあまりなかったわけである。

 

 けれども、除名をきっかけに、見ず知らずの方から公式HPのメールフォームを通じて連絡が来るようになり、党の現実をリアルに突き付けられることになる。これって、現在の党中央的には、民主集中制の原則に反していて分派活動にあたって除名だということになるのかもしれない。しかし、私にしてみても他の党員にとってみても、こうやって党の現実をリアルに知ることは、どうしたらこの苦境から抜けだす道を見いだすのかにとって不可欠の作業であり、党中央だけが知っていればいいというものではない。党員同士、党支部同士の不断の交流、意見交換こそ、党を再生する道筋だと自覚することになる。

 

 それにしても、現在の党勢拡大の運動は、率直に言って党員と党支部を苦しめている。傷つけている。ほとんどが70歳を越えている党員で、病院にも週に1回や2回は通わないといけないし、リハビリをしている人もいるし、老後に楽しいこともしたいのに、月に1回の会議を週に1回しろと言われる。会議に出るには交通費もかかるのに、年金で出せるのは限りがある。機関の追及がきびしいので、支部長一人で背負いきれるものではなく、支部長交代で躱そうとするが、なり手もどんどん減っていく。「赤旗」拡大を迫られるが、増えても配達できない新聞を増やせと言われても、気持ちよく拡大できるものではない。

 

 それでも活動している支部はまだマシである。地区委員会に行けば、支部宛の文書を入れるポストがあるのだが、文書をとりに来ない支部も少なくない。結果、やはり拡大するのは議員は力もち党員に限られるが、そういう人はどんどん減っていくので、未来には希望が持てない。

 

 そういう不都合な真実に目を背けず、現実に真摯に向き合うことが、いま求められているわけだ。ところがそういうことは、現在の路線では、求められる革命性に反することになって、現状を会議で発言することすらできない。

 

 こんなことをくり返していいのか。それではダメだということを、いつ党中央は気づくのだろう。待っていればいつか言い出すことがあるのだろうか。それとも、こんなやり方がずっと続くのだろうか。

 

 党の将来を真剣に憂える人には絶望的な状況である。絶望していない場合も、党の路線は間違っていないと自分に言い聞かせながら、落ち込んでいく党とともに余生を送るしか選択肢がないと決め込んでいるのが、党員の現状であろう。(続)