共産党大会に向けて全国で議論がされている。地区党会議はほぼ終わり、都道府県の党会議が最盛期を迎えているというところだろうか。ヤバいと思ったところには党中央が乗り込んで記録をとっていたりしているそうだ。それでも、ある超大県の党会議で民主集中制批判の論陣が張られて、大ブーイングが起きたという話も聞く。

 

 ところで、私なりに党大会の意義を語っておきたい。志位氏が10中総で意義を3点にわたって述べているので、それを私なりに敷衍して語るというものだ。これまで私は考えついたことはまずブログで書くという慣習を確立してきたが、来年以降のことを考え、まずYouTube動画にして、必要ならブログでも書く(いちばん必要なことは個人事業主として興す事業で執筆する)ということにしたいので、その予行演習のようなものである。

 

 志位氏は大会の意義を3つに分けて語っている。1つ目はこうだ。

 

「第一に、第28回党大会で行った綱領の一部改定が、この4年間の情勢の激動のもとで、どういう生命力を発揮しているかを明らかにし、綱領にもとづく世界論、日本改革論、未来社会論をさらに豊かに発展させる大会となるようにしたいと思います。」

 

 28大会の綱領改定は大事なことだった。何よりも中国が社会主義をめざしているとする規定を削除し、国際政治をリアルに見られるようになったことだ。2004年の綱領改定はそういう趣旨で行われ、アメリカ帝国主義であれ旧社会主義国であれ、「悪い物は悪い」「良い物は評価する」というリアリズムを確立したはずのに、中国だけは特別視していた。党員は中国批判を抑制することになり、それが尖閣や台湾などの政治の現実とかみ合わず、みんな現場で苦労していた。

 

 この転換は、志位氏が党大会の前に行われた国際会議に出て、核兵器にしがみつく中国の姿を体験し、それと会議の現場で闘うことを通じてなされたものである。志位氏の奮闘と綱領の改定は高く評価されるべきものだと思う。

 

 61年綱領の問題点について、不破氏はソ連崩壊後、「(世界を)二大陣営」、すなわち戦争に固執する「帝国主義陣営」と平和勢力である「反帝国主義陣営(社会主義諸国など)」に分けていたことだと述べている。その上、その「反帝国主義陣営」の中に「ソ連覇権主義という巨悪」が入っていたことに「最大の弱点」があったとしした(『党綱領の理論上の突破点について』)。

 

 それを大転換したのが2004年の綱領の全面改定だったのに、不破氏自身が、弱点をぬぐいきれなかったわけである。それを2020年の大会で綱領の文面上は払拭したのであるが、61年綱領のもとで、帝国主義=悪、社会主義=平和勢力と位置づけてきた思考の名残は、まだ党内の至るところにぬぐいがたく残っている。綱領改定を提起し、やり遂げた不破氏でさえ弱点が残ったのだから、他の幹部、党員はよけいに残っている。

 

 それを完全に一掃し、特定のイデオロギーから離れ、現実をふまえた世界観が求められるのである。そういう見地に立つと、29回大会決議案はどう評価されるであろうか。(続)

 
 またショート動画をアップしました。ショート動画は「私と本」をテーマに1分でお話ししていきます。今回は、来年2月10日、「自衛隊を活かす会」編で刊行する『戦争はどうすれば終わるのか?—ウクライナ、ガザと非戦の安全保障論』(集英社新書)を取り上げています。