土日をはさんで本日までお待たせしたのは、読者をじらすためではなかった。再審査請求に対する党中央の対応を見ていると、除名に反対する党員をあぶりだそうとしているわけで、わざと細工した常任幹部会の議事録を流出させ、流出先を特定しようとする可能性が残っていたからだ。けれども、週末の間に他の箇所からも流出したので、その心配がなくなった。

 さて、本題である。YouTube動画も公開したので、あわせてどうぞ。

 

 

 私のことが議論された部分は、タイトルが「(三)党大会かく乱策動を許さないとりくみについて」とされている。もう「再審査」ではないのだ。規約で除名されたものの再審査の権利を規約で認めておきながら、規約を踏みにじり、私の再審査の求めを公式に「かく乱策動」と認定したのである。

 

 冒頭、例の土方文書をもってきて、「この内容が的確であることを常任幹部会として確認した」とされている。懐かしいね。1月に藤田健論文を「赤旗」に出して、直後の常任幹部会で、「常幹としてその内容が的確であることを確認した」のと、まったく同じである。党中央が個人に対して襲いかかることを、しかもこの程度の水準の文書を使って襲いかかることを、公式に決めたのである。

 

 議事録では次に、この問題の「本質」なるものを「解明」する。といっても土方文書と同じで、私が「党内に自らの同調者をつのることを公然」し、「同調する党員に対し、本心を隠して党大会代議員になるよう『指南』している」ことが、問題の「本質」だというのだ。

 

 「本心を隠して」という部分は、すでに論じた。私は、「宮本顕治氏のように」とか「宮本氏に倣って」、「必ずしも明確に反対すると言わないやり方もある。そして、必要な時と場所で、堂々と態度を明確にすればいい」と書いたのだが、それがいつのまにか「本心を隠して」ということになり、宮本氏のことだという話は隠蔽されるのである。ここには、論理で相手を批判しようとする姿勢が欠片も存在しない(理論はもちろん存在しないのだが)こと、宮本氏への敬意もないことが示されている。

 

 私が「党内に自らの同調者をつのる」のを批判するのは、土方文書と同様、党規約第55条を完全に踏みにじっていることである。私は規約の権利を行使して、除名が間違いだと主張しているが、その行為は、私の主張を正しいと感じてくれる「同調者をつのる」行為である。それを「かく乱策動」だというなら、再審査を決めた規約第55条は存在する意味がないということだ。

 

 ただ、先日の記事で書いたように、この議事録の中心点は、私の再審査を認めない態度を決めたことにあるのではない。党員を3種類に選別、排除、統制することにある。

 

 まず第一は、「圧倒的部分」の問題のないグループである。綱領と規約への確信をもっているグループだそうだが、これは61年綱領と58年規約と書いたほうが正確だっただろう。私だって2000年規約と04年綱領には確信を持っているのだから、この「圧倒的部分」の一員に括られることになってしまう。

 

 第二は、私に同調したり、疑問をもっているが、「話せばわかる」グループだそうだ。昔風に言えば「動揺分子」ということになろうか。このグループへの対処は、批判はするが、それはていねいに行って、党への結集を求めるそうである。

 

 そして第三が、もう党員としての資格をなくしているグループだそうだ。このグループに属する党員には「適切な対処を組織的に行う」としている。「対処を行う」だけではなく、「組織的に行う」というのが、中央から地区まで機関をあげて行うことを連想させる。なお、このグループに属するのは「ごく一部」とされている。これが「ごく一部」ということは、第二グループは相当数に達しているということなのだろう。

 

 こうやって党員を分類することの問題点はこれから書いていくが、私がこの常任幹部会の議事録を読んだとき、すぐに頭に浮かんだのは北朝鮮のことであった。あの国でも、「成分制度」と呼ばれる国民の区分けが存在し、現在の日本共産党と同様、国民は3つの階層に分けられている。その分け方が、「核心階層」「動揺階層」「敵対階層」となっているのも、現在の日本共産党と似ている。

 

 ということで、次回は、その北朝鮮の制度のことを紹介しておこう。日本共産党が党員を階層に分けることの問題点を理解してもらうのにも役立つだろう。

 

 党中央は、この議事録に関する私の見方が間違っているなら、どうぞ指摘してほしい。そして、私の間違いを明らかにするため、是非、正確な全文を公表したらどうだろうか。なお、以下、議事録の全文をテキストで出しておく。(続)

 

(三)党大会かく乱策動を許さないとりくみについて

 十一月三十日付の土方明果組織局長論文「除名された人物による党大会かく乱策動について」を「赤旗」に掲載したことについて報告をうけ、この内容が的確であることを常任幹部会として確認した。党として、党大会かく乱策動を許さないという断固たる決意、立場で奮闘していく。

 この問題の本質は、土方論文が指摘した通り、一般的な党攻撃ということにとどまらず、除名された人物が、「党内に自らの同調者をつのることを公然と宣言」し、「自らに同調する党員に対し、本心を隠して党大会代議員になるよう『指南』している」ことにある。

 パンフレット「党首選出と安保政策をめぐる攻撃にこたえる──憲法の『結社の自由』をふまえて」を、全党がよく読み身につけ活用することを重視する。除名処分された人物は除名が不当と言っているが、除名理由はパンフレットに明記されており、パンフレットの内容をつかめば攻撃はすべて打ち返せる。

 大会決議案の討論の状況をみても、わが党の圧倒的部分は綱領と規約、党の政治・組織路線への確信をもっている。党大会かく乱策動は、過小評価はすべきでないが、過大に見るべきではなく、堂々と打ち破っていく。

 この問題で松竹氏の策動に同調したり、疑問をもっているが、きちんと話せばわかる党員には、丁寧に批判し、理をつくして党への結集を促す。同時に、ごく一部には、政治的・思想的に党員としての資格・実質を喪失しているものもいる。除名された人物と連絡をとって大会代議員になることを相談するような動きもある。これらに対しては規約にもとづいて適切な対処を組織的に行う必要がある。