中祖寅一様

 

 ところで、私が接触したメディアとしてあなたが名前をあげたのは、これまで紙名を紹介しませんでしたが、読売新聞らしいですね。それがよく理解できないところです。「読売」と言えば、共産党的な世界においては、常識的にみてもっとも権力に近いメディアだと思われています。そんな新聞から得た情報はほとんど権力情報と同じだと思われて当然なのに、その記者の発言を根拠にして私と権力の結託を証明するなど、常識に反しています。それを信じて決定にする党中央委員会も同じように非常識ですが。

 

 しかし、あなたが「読売」の名前を挙げたのは、別の思惑があったと思います。じつは、接触したことを隠したいメディアがあったからでしょう。それが朝日新聞です。

 

 「朝日」が私の除名を異論の排除だとして批判する社説を掲載したのは2月8日でした。この「朝日」の社説を受ける形で、9日付の「赤旗」には、あなたの名前で「『結社の自由』に対する乱暴な攻撃──「朝日」社説に答える」が掲載されています。

 

 そして、この日、昨日紹介した志位氏の「朝日」批判の記者会見が行われます。あなたと志位氏が一体となって、権力と結託して「党攻撃」を行っている「朝日」に対する反撃に乗り出したわけです。

 

 ところがあなたは、そうやってオモテでは権力や反共メディアと戦っているふりをしながら、じつはウラではこっそりと繋がっていました。あなたは9日に「読売」の記者と会って情報をもらいつつ、その同じ日には、「党攻撃」の社説を書いた「朝日」の記者とSMSで(その記者が在宅勤務で会社にいなかったからですが)私との関係を聞き出そうとしました。反共メディアだ、党攻撃だと批判している新聞社に対し、反論を開始ししたその日にお伺いを立てたのです。SMSのやりとりだったので、すべてデータで残っており、その中には記者の勘違いにもとづく間違った情報も含まれています。

 

 こうして権力と最も近いと思われている「読売」と、共産党が「党攻撃勢力」と位置づけた「朝日」と、そういうところに接近し、その情報をもとにして(間違った情報も含めて)、私と権力、メディアとの結託という妄想的な構図をつくりだしたというわけです。それを9中総で得意げに発言した。志位氏は記者会見で「朝日」に対して激怒する対応をして、参加してきた他のメディアの記者も脅えてしまったわけですが、あの「激怒」も出来レースだったのでしょうか。

 

 「赤旗」記者が取材のため一般紙の記者と親しくなるのは当然です。とくにあなたは、その風貌からして、「お前は権力の思惑通りに動くメディアの記者なのだ」という本音を隠して、他社や他人に警戒されずに取材対象に接近することができるのでしょう(それが明日付で結論として書く問題も生んだわけですが)。

 

 しかし、私と権力、メディアとの結託という構図を、党攻撃を開始したメディアの記者からの情報で組み立てるというやり方は、決して誉められたものではありません。いや、常識的にはそういうメディアの情報を参考にしていいわけですが、あなたと党中央は「メディア=権力」と認定しているわけですから、メディア情報を信じることは権力を信じることになってしまうということです。

 

 さて、ここまでの記事を読んで、おそらくあなたは、「良かった。松竹からは権力と自分の関係が出てこなかった」と喜んでいることでしょう。もちろん、もともと私だって、本気でそんなことを考えたり、探ったりしたわけではありません。

 

 しかしそれならば、「メディア=権力」ではないということですから、私が権力と結託しているかのような、あなたの発言も取り消すべきでしょう。「読売」や「朝日」情報をもとに組み立てられた9中総の決定も間違いだったと、あなたは自己批判すべきなのです(2000年に制定された現在の規約からは「自己批判」という概念は削除されたのですが)。

 

 そんなことはできないでしょうね。哀しいことに、現在の党の基本路線は、「松竹=反共メディア=権力」という構図が真実であることを唯一の根拠として組み立てられ、全党がそれに付き従っているのですから。「真実を報道する『赤旗』」というスローガンは、もはや過去のものになってしまいました。

 

 ところで、あなたは、私やあなたとメディアとの結びつき程度ではなく、本当に深いところで反共勢力と結びついていたというか、弱みを握られていたのですね。いよいよ明日は連載の最後です。(続)