〈この週末から、来年1月の党大会に向けて、支部での決議案の議論と地区党会議の代議員選出が全国的に開始されています。まったく面識のない方からメールがあり、除名撤回のために代議員に立候補したが敗北した、残念だったという内容でした。でも結果を聞いてびっくり。その方も27%程度の得票があったのです。本気で代議員になろうと思って頑張ったので残念だったということなのですね。現在のように、少数意見の人は代議員として選出しないということが民主集中制の名のもとにやられている限り、少数意見の尊重という民主主義の根幹は共産党のなかでは実現しないわけですが、それでも私に共感する方が3割近くもいるわけです。もちろん、ほとんどの支部党会議では、こういう気概のある人はでてこないのでしょうが、そういう人がいればこれくらいの割合で私への支持があるのかと思うと、少し胸が熱くなりました。〉

 

中祖寅一様

 

 これまで説明してきたように、意見の違いで第二事務が党員を監視することはないはずです。最大の意見の違いを持っていた私が監視されなかったのだから、体験の範囲ということでは、そこは断言できます。

 

 しかし、別の問題では、可能性がないとは言えない。意見の違いをもって分派をつくろうとする場合ではありません。分派というのは、党綱領に反対する仲間をつくって、やがては結束して行動を起こすためにつくるものなので(連名での意見表明程度を「分派」扱いするかは間違いだが)、党中央としてはいずれオモテに出たときに処分をすればいいだけのことです。

 

 そういう対処ができず、党に打撃を与えるのは、分派のようにどこかの時点で表面化して行動することなく、深く潜行してしまう場合のことです。いつまでも潜行したままだという場合です。そう、公安警察と接触したりして、スパイ行為にいたる場合のことです。こうなると問題のフェーズは変わってこざるを得ません。

 

 1987年のことですが、当時の共産党宮崎県委員長が宮崎県警の警備当局から報酬を受け取ってスパイ行為をしていたとして、除名処分されたことがあります。何十年もの間、情報を提供していたとのことですから、党に与えた損害は甚大なものだったと思います。

 

 昔と違って、現在はそんなにたくさんの事例があるわけではないでしょうが、そういう事例がなくなったとまでは言えません。そのような現状で、共産党が何らかの防衛策をとるのは(とらないで良くなる時代が来てほしいとは願うが)、仕方のないことではないでしょうか。

 

 もし本当に第二事務に尾行されたという人がいるなら、そこを疑われたのだと思います。それを「意見の違いで尾行されている」と言えば、周りにはちょっとかっこ良く映るということになります。私が第二事務に尾行されなかったのも、志位氏との意見の違いはほかのどんな党員よりも深刻なものでしたが、公安との接触もなくスパイ活動をしていたわけでもないので、まったく疑われなかったということでしょう。

 

 なお、その種の防衛策を党がやっているとして、それを第二事務が主体になってやっているかどうかは、私は知りません。仕事の性格上、そこはどんなに聞いても誰も教えてくれませんでした。

 

 以上です。よって、私の除名が撤回され、党首公選が実現して万が一党首になっても、第二事務は廃止しません。ただし、現在のような警備体制が過剰でないかということは、第二事務の仕事が激務であるだけに、よくよく検討しなければならないとは考えています。

 

 なお、あなたへのメールの14回目(11.11)で、なぜ幹部の防衛を特別に重視するかについて、事務所などと異なり「(幹部は)失ってしまったら取りかえしがつかない」からだと書きました。しかし、首公選が定着して、党首は替わるものだという考え方も定着していくなら、幹部も「失ってしまったら取り替えができない」というものではなくなっていく可能性はあります。そうなれば、第二事務の仕事も大きく変貌することになるでしょう。

 

 さて、いよいよ明日からが本題です。あなたと権力の結びつきはどのようなものか、なぜ「赤旗」政治部長の中祖氏は、篠原氏の「党攻撃」に反論できないのかということです。(続)