〈昨日、本日付の記事までアップしてしまいましたが、未定稿でした。本日が最終稿です。なお、私の公式ホームページで11月1日に提出した除名問題の再審査請求書をダウンロードできるようにしています。10中総後の記者会見で、志位氏が再審査について「現段階で決まっていることはない。大会が適切に判断するだろう」と述べましたので、大会前に却下されることはなさそうです。がんばって党員、代議員への訴えを強めていきたいと思います。〉

 

中祖寅一様

 

 共産党を退職しようという人には、再就職のための活動をする自由、権利があります(だからこそ私の退職届けも、臨時の常任幹部会で承認されたわけです)。一方、昨日書いたように、そのことを察知した現場の党員が、それを誰にであれ伝える自由、権利もあると思います。

 

 これを「監視体制」と呼んだり、いわんや第二事務の指令が行きとどいているなどと関連づけるのは、大きな間違いです。党員も機関も、誰もが、自分の考えを自由に表明できるのです。そうなると党員同士、党員と機関の間の権利、自由のぶつかり合いみたいなものが生まれますが、それを国民の目に可視化することも、共産党を国民の常識に近づける道だと思います。

 

 3年ほど前だったでしょうか、大阪府内のある市の市民連合が、私を呼んで野党共闘の勉強会をすることを計画しました。しかし、大阪府党の中村正男副委員長が、「松竹は党の内部問題を外に出すようなヤツだからダメだ」と猛反対し、実現しませんでした。これも、「第二事務=党員をスパイする機関説」に依拠すると、第二事務の全党的監視体制のなせる業ということになるのかもしれません。

 

 しかし、誰であれ、私を呼びたくなければ反対すればいいし、それほどでもなければ黙認すればいいのです。そして、反対があっても、どうしても聞きたい人の話は、反対を押し切って聞けばいいわけです。その権利と自由のぶつかりあいが、豊かな組織と運動を生み出すと思います。ですから、私はそのことで中村氏にうらみがあるわけではありません。中村氏の反対を押し切ってまで私を呼びたいとは思われなかったということで、私の不徳の致すところだと考えているだけです。

 

 2015年、野党の国民連合政府を提唱した志位氏が、大会決定にもなっていない日米安保条約第5条発動論や自衛隊は政権として合憲論を打ち出しましたが、志位氏にはそういう言論の自由がある。それと同時に、それを受けて私がそれを具体化する議論を公表する自由も、本来はあるはずだった。幹部には大会決定にもなっていないことを表現する自由はあるが、ヒラ党員には存在しないというのは、第22回大会で決めた「循環型」規約の精神に反すると思います。共産党は「循環型」規約を豊かに具体化し、実践することに慣れていかなければならないと思います。

 

 第二事務のことから離れてしまいましたが、第二事務=スパイ機関説というのは、意見を異にする党員を対象にして党が仕事として組織的日常的に尾行監視しているというもので、事実とすれば許されないことです。前回と今回で紹介した事例のように、党員や機関がその権利を行使して行うこととは全く異なります。

 

 それにしても、なぜ第二事務=スパイ説のような言説が生まれたのでしょうか。それは、一つには、第二事務のことを抽象的にしか捉えていないことが、根本の背景にあると思います。

 

 第二事務の幹部防衛の仕事はたいへんな仕事です。幹部を深夜に自宅に送り届け、朝は出勤にあわせて自宅に迎えに行くのです(早朝に散歩する日課がある幹部なら、それにも合わせなければならない)。そういう事情があって、例えば自分の好きな田園地帯に自由に住むことなどは事実上許されず、幹部の近くに住まいを構える必要もあったりするけれども、だからといって住宅手当が出るわけでもありません。妻はたいていが党員で、夫の理解者であろうとするだろうけれど、子どもにとっては「父の仕事は共産党幹部の警護」と聞かされても、なかなか誇りにしにくいでしょう。ましてや、「お前の父さんは党員のスパイをしている」となったら、子どもは何を思うでしょうか。

 

 そういうなかで献身的に働いていることを知っているので、私は第二事務批判には過敏になってしまうのです。これって、一部の原理主義的な左翼が、自衛隊を人殺しだと批判するのと同じようなもので、批判の対象を抽象的にしか見ていないと、ときとして起こる現象です。その批判の対象には妻も子どももいて、その子どもが自分の子どもと学校では同じクラスで机を並べて勉強していることなどを少しでも想像できれば、批判するにしてももっとマシな批判ができると思うのです。

 

 さて、土日は中祖さんのために連載は休んで(他の記事は書きます)、週明けに最後の4回分の記事を書きます。まず、第二事務そのものに関する記事を書き、あと3回は中祖さんと権力との関係について言及します。(続)