国際問題も国内問題も、大事なことはたくさんあるが、共産党の再生は私にしかできないので、そればかり論じている。でも、ガザの問題は、どう考えても、私が共産党に復党できるかどうかより、圧倒的に大事な問題だ。

 

 ある出版社から依頼があり、子ども向けの本の一部として、以下の原稿を提出した。どう扱われるか分からないが、とりあえず紹介しておく。自民党から共産党まで、ハマスにどう責任をとらせるのかを論じる勢力がないので、少しは意味があるだろう。

 

問題の根本的な解決のために──オスロ合意を甦らせる

 

 パレスチナ問題の根本的な解決のためには、両者が納得のいく合意を結ぶしかありません。そうしなければ現在のような暴力の応酬が続くことは、この問題の歴史を見れば明らかです。

 

 そうした合意として一時歓迎されたものとして、1993年にノルウェーのホルスト外相の仲介で成立した、いわゆるオスロ合意があります。イスラエルのラビン首相、PLOのアラファト議長との間での合意で、正式には「パレスチナ暫定自治に関する原則宣言」と呼ばれます。合意の場となったワシントンのホワイトハウスでは、アメリカのクリントン大統領も立ち会い、両者が握手を交わしました。

 

 これは、それまで相手の国家としての存在を認めてこなかった両者が、基本的に2国の共存に向かうことを認めるものでした。大まかに言って、次の2つの内容で構成されます(以下、合意内容とその意味は省略)。

 

 しかし、この合意直後から、イスラエルでもパレスチナでも、反対世論が巻き起こりました。イスラエルにとってみれば、占領して住んでいる地域から追いだされる不安がありました。パレスチナにとってみれば、土地を多く奪われた現状を追認することへの怒りがありました。

 

 その結果、合意を結んだイスラエルのラビン首相は、国内の反対勢力に暗殺されました。パレスチナでは、合意に反対するハマスが勢力を拡大していきました。

 

 どんな立派な合意も、それだけでは実現しません。その合意を国民、住民の大多数が大切なものだと感じなければ、紙に書いてあるだけのものになります。しかし、どちらにもオスロ合意に反対する勢力がいるということは、この合意が両者にとってバランスのとれたものであったことを示しており、現在でも、このオスロ合意を甦らせる以外、問題を根本的に解決する道筋はありません。

 

 どんなに困難があっても、オスロ合意に立ち返り、この精神に立たなければいつまでも暴力と殺戮が続くことを、お互いが理解していくしかないでしょう。国際社会も、両者のどちらであれ、合意の方向を進めるなら援助を惜しまないし、合意から外れればきびしく批判するようにすべきでしょう。

 

問題の緊急な解決のために──停戦を実現する条件

 

 根本的な解決には時間がかかります。現在の大量殺戮とも言える状況は、ただちに終わらせるべきであり、そのためには停戦を実現する必要があります。停戦とは、お互いに不満があっても、その解決は先延ばしにして、緊急の解決策で合意することです。

 

 何よりも大事なことは、ガザ地区の非人道的な事態を終わらせるため、イスラエル側が停戦に応じることが大事です。(以下、ガザの人道状況は略)

 

 非人道的な事態を終わらせるためには、イスラエル側だけでなく、ハマスも停戦に合意する必要があります。「テロ組織」だから交渉の相手としないというのでは、いつまで経っても停戦は実現しません。つまり、ハマスとの交渉も必要なのです。

 

 一方、イスラエル側の大量の死者と人質を生んだハマスの蛮行は、許されるものではありません。ハマスに責任をとらせるために必要なことは、蛮行の責任者を法の裁きにかけることです。テロ行為をしたから殲滅するというやり方では、ハマスの無法行為とどっちもどっちとなり、この地域の無法の応酬を終わらせることになりません。そのためにも交渉相手として認めることが不可欠でしょう。

 

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 昨日、新しい動画と11日のライブ配信の予告をしましたが、間近に迫った企画を1つ忘れていました。それよりも早く、明日午後6時半から、現役学生とのトーク企画がありました。「青少年のための シン・松竹伸幸入門」ですって。予約サイトから料金を支払うとズームのアドレスが送られてくるようです。