中祖寅一様

 

 さて、じつは本日から差し上げるメールの内容は、かつてブログで書いたことなのです。しかし、私が除名される前のことでしたし、あなたも私のブログなどに関心をもっておらず、読んでもいなかったでしょうから、改めてお知らせする次第です。

 

 どんなテーマだったかというと、「第二事務」のことです。軍事ジャーナリストの篠原常一郎氏が「プレジデント・オンライン」(2022.11.2)に書いた記事が衝撃的だったので、党を守るために何とかしなければと思ったのです。こんなタイトルでした。

 

 

「最高幹部の保身のために一般党員をスパイする…日本共産党の裏部隊「第二事務」の存在を告発する——純粋な正義感で入党した党員ほどショックを受ける」

 

 

 これが事実だったら、本当にショックですよね。私の知り合いからも「これは事実なのか」と問い合わせがある状況でした。

 ところが、何日経っても「赤旗」では反論記事が出ないのです。あなたは「赤旗」政治部長として、この記事をどう受け止めたのでしょうか。

 

 これまでのメールで私が書いたように、「産経」や「正論」なら、反共メディアは相手にしないという対応も考えられます。しかし、プレジデント社ですから、共産党の基準で言っても、対応すべきまともなメディアでしょう。

 

 それとも共産党を除籍され、党批判を展開している篠原氏が書いたから、無視することに決め込んだのでしょうか。それにしても、「共産党が暴力革命をめざしている」というような、多くの党員が反論可能なものならともかく、「第二事務が党員をスパイしている」と言われても、「第二事務」とは何かだって、ほとんどの党員は知りません。いくら篠原氏が書いたものだからと言って、「赤旗」が黙り込んでいたら、これが事実として党員と世論に沈殿していくことは明らかです。

 

 それなのに「赤旗」政治部は無反応でした。もしかして、「事実だから反応するな」という指導でもあったのでしょうか。

 

 けれども私は反論しなければならないと考えました。当時、『シン・日本共産党宣言』の刊行が目前に迫っており、次の党首をめざす私としても、聞き捨てられない話だったからです。そんな政党の党首にはなりたくないですからね。というか、もしこれが事実なら、党首になったら廃止することは公約しなければならないと思いました。

 

 そこで、自費で出張して取材することも含め、いろいろ調べました。それは当時のブログに書いたのですが、改めてお伝えする次第です。

 

 ところで、あなたへのメールは公開していますので、共産党事情に詳しくない人の目にもふれます。そういう人の中には、第二事務と言っても、まったく知らない人もいるでしょうから、概要を書いておくことが必要だと思います。

 

 共産党が大会をやって新しい指導部を選んだあと、しばらくすると、「日本共産党中央委員会の機構と人事」というものが公表されます(画像)。ホームページにも掲載されていますが、私がかつて所属していた懐かしの政策委員会からはじまって、たくさんの部署が紹介されています。

 

 

 それをずっと下までスクロールしていくと、最後に出てくるのが「第二事務室」です(画像)。「中央委員会事務室」の下に「第二事務室」とあるのがわかるでしょう。今後は通り名である「第二事務」と書いていきます。

 

 

 多くの人にとっては聞き慣れない名前だと思います。実際、かなり長い間、そんな部署があることについて、こうやって「赤旗」やホームページで公表されることもありませんでした。だから余計に、「何か秘密の組織で、オモテに出せないことをやっているのか」と思われてきたわけです。

 

 また、この名前を聞いた人は、不思議にも思われるでしょう。じゃあ、「第一事務」もあるのですかと。

 

 その答えが、「第二事務室」のすぐ上に書いている「中央委員会事務室」です。これって、かつて「幹部会事務室」と呼ばれていたもので、そこをずっと「第一事務」扱いしてきたので、同じく幹部会(中央委員会)全般の事務を行う部署のなかでも、第一事務以外の仕事をするところを第二事務と呼ぶようになったわけです。

 

 では、第一事務は何をしているのか。共産党には中央委員会、幹部会、常任幹部会という機関があって、会議もすれば準備も必要だし、所属する役員からはいろいろな要求があったら応えなければならないし、仕事はいろいろあります。また、委員長や書記局長などの党務を司る秘書(国会や地元の秘書とは違って)も、ここに属しているのです。

 

 ようやくここで、第二事務の仕事に入っていきます。(続)