中祖寅一様

 

 ご無沙汰しております。お元気でお過ごしでしたでしょうか。といっても、最近までの「50年問題と『敵の出方論」』の評価を見直す」の連載も、ブログ読者には知らせませんでしたが、あなたにメールは送っていたのでした。

 

 さて、引き続き、権力からの共産党への批判に対して、あなたを先頭とする「赤旗」と党中央が黙り込んでいるので、私が替わって反論している話をつづけたいと思います。「赤旗」と共産党には、権力と堂々と戦う党として再生してほしいからです。

 

 でも、その前に一つお伺いしたいことがあります。X(ツイッター)で、私の『シン・日本共産党宣言』の以下の記述が話題となり、ある党員がデマだと主張しているので、それに関連することです。

 

「中央委員は約200人いるけれども、何度も述べたように全員が党中央から給与を支給されている専従者である。中央に歯向かえば役職の維持や給与支給にも影響してくる可能性がある。」

 

 私は「可能性がある」と書いただけで、事実としてそういうことがあるとは述べていません。じつは、党中央をすでに退職した高齢者が異論を公表したところ、党から支給されている独自年金を半分に減らされた事実は承知しており(ことと次第では全額の支給を停止すると言われた)、年金暮らしの高齢者に対してひどいことをするなと思ってきました(現在の党本部のシステムでは、年金支払いは選べなくなり、一時的な退職金システムしか存在していない)。しかも、保険制度のようなものであり、もともとの原資には在職時に本人が積み立てたおカネが含まれているのですから、その意味でも党が一方的に削減できるものではないでしょう(なお、私のこの記事を理由として、その方の年金が全額カットされては困るので、お名前は明らかにしません)。

 

 一方、現職の中央委員が異論を述べたが故に、「役職の維持や給与支給にも影響」することは、可能性の指摘ならともかく、事実として提示することはできません。だって、そもそもですが、「現職の中央委員が異論を述べた」こと自体が事実として存在しないので、「役職の維持や給与支給にも影響」することも、これまでは起こり得ないことだったからです。

 

 それを証明する格好の事例が、志位氏の日米安保条約第5条発動発言と、それをめぐる中央委員の対応だったと思います。中祖さんをはじめ約200人の中央委員の全員が、日米安保条約の発動など認められないと強く思っていることは、安保条約の維持を前提とする「核抑止抜きの専守防衛」を主張した私に対して総がかりで「綱領違反だ」「除名だ」の大合唱で応えたことで、事実として確認できることです。

 

 ところが、共産党が野党連合政権を打ち出した直後の日本記者クラブの会見で、記者から「仮に日本有事が起こったさいには、安保条約の発動を認めますか」と問われたのに対して、志位氏が「その時には、安保条約第5条で対応します」と答えた際、どうだったでしょうか。あなたが政治部長を務める「赤旗」も肯定的に報道しましたし、次の中央委員会総会で200人の中央委員のうちあなたも含め誰一人として異論を唱える人はいませんでした。それどころか最近では、志位氏は立派な指導者だ、間違いは犯していないとするキャンペーンが続いています。

 

 つまり、ほとんど同じことを言っても、党首が述べれば天まで持ち上げられるけれども、ヒラ党員が言えば除名されるのです。なぜそうなるかというと、党首批判が「役職の維持や給与支給にも影響」するからだと思うのです。

 

 中祖さんはどうなのでしょうか。あなたは「松竹氏は、野党共闘のためには安保政策を変えることが最優先だとしている。荒唐無稽で極めて有害だ。喜ぶのは支配層だ」(10月10日の「赤旗」幹部記者会議での発言)と述べましたが、志位氏の安保第5条発言の時にはおおいに持ち上げました。似たような発言に対して、なぜ異なる態度を取ったのですか。「役職の維持や給与支給にも影響」するからではないのですか。違うなら、その理由を明確に述べてください。(続)