はい、先ほど提出というか、ポストに投函してきました。書記局宛の手紙(4000字)、請求書第Ⅰ部(7万6000字)、請求書第Ⅱ部(10万字)です。手紙の内容は、本日ここで公開します(公式ホームページでは提出書類のPDF版を公開します)。請求書第Ⅱ部は『不破哲三氏への手紙』(宝島社新書)と同じですので公開しませんが、請求書第Ⅰ部は党中央が受け取ったことを確認したあと、適切なタイミングで公開します。そのうちの最後の部分(「代議員のみなさんへの心からの訴え」4000字)は、全体の概要のようなものが必要だという読者のみなさんの意見をふまえて作成したものですので、明日、公開します。

 

 以下が書記局宛の手紙ですが、その前に、YouTube動画をアップしましたので、ご視聴ください。「レーニンと分派」をテーマに、3回ほど論じますが、その1回目です。とうとうチャンネル登録者が1000名を超えまして、新たな展開が可能になります。再審査請求書提出と同じタイミングになるなんて、いよいよ楽しみになってきました。

 

 

日本共産党中央委員会書記局御中

      除名処分の再審査請求にあたって

二〇二三年一一月一日 松竹伸幸

 

 私は今年二月五日に京都南地区委員会によって除名処分が決定され、翌六日に京都府委員会で承認されるまでの間、同地区委員会の職場支部に所属していました。今回の除名処分にはとうてい納得できませんし、とりわけ除名の根拠として挙げられた理由は根本的に間違っていると考えますので、党規約第五五条(「被除名者が処分に不服な場合は、中央委員会および党大会に再審査をもとめることができる」)にもとづき、処分の撤回を求めて来年一月に開催されることが決まった第二九回党大会に対して、再審査を請求します。この党規約の「中央委員会および党大会に」という表現からして、どちらにも請求できるということでしょうから、党大会がすでに召集されているという現状をもふまえ、中央委員会ではなく党大会での再審査を選ばせてもらいます。

 

 この間、私は個人情報保護法にもとづき、除名関連の個人情報の開示請求をしましたが、その際、党書記局から「除名に関しての再審査については、被除名者がいかなる書式で提出しようと再審査の対象になる」との返事(五月一五日付)を受け取っています。再審査は問題なく実施されるものと確信しています。請求書はⅠ部とⅡ部に別れていますが、「いかなる書式で提出しようと……対象になる」とのお返事でしたから、書式も問題ないものと考えます。

 

 書記局をはじめ指導部のみなさんには釈迦に説法ですが、「除名は、党の最高の処分であり、もっとも慎重におこなわなくてはならない」(規約第五四条)とされています。それだけの位置づけをもつ除名問題ですから、再審査にも同じ精神が貫かれるべきものと思います。戦後、除名の再審査を盛り込んだ一九五八年の党規約が制定されて以降、公開された党大会議事録(党大会決定集)を見る限り、規約にもとづく除名の再審査が実施された記録はないようです。党史上初の再審査がどのようなものになるかは、今後一〇〇年の党のあり方にも影響を与えることになるでしょうから、再審査規定を設けた趣旨にふさわしいやり方にしなければならないと思います。

 

 この再審査規定が五〇年代末から存在していたということは、党が深刻な分裂を経験した五〇年問題の教訓をふまえて、規約に取り入れられたものなのでしょう。当時、分裂した双方の側が、相手の側に属する党員を除名する事態が横行し、のちに党首となった少数派の宮本顕治氏に対しても、分派だから除名せよとの全国的なキャンペーンが組織されました。宮本氏は、除名処分を受けそうになった際、同じアパートに住んで親しく挨拶する関係をもって分派だとみなそうとする徳田派に反論書を提出し、分派とは「特殊の政綱をもち、またある程度閉鎖的となり、それ自身の党派的規律をつくろうと努力するグループ」というレーニンの規定こそが日本共産党にも適用されるべきことを訴えました。この経験から、多数派であれ間違った除名を行うことがあるという自覚が生まれ、そのような過ちを二度とくり返さないため、宮本氏の発案によって再審査の規定が生まれたのだと思います。

 

 今回の再審査は、この精神にもとづいて、あの宮本氏がもし除名され再審査を受けていればどんな手続きを求めたかなども頭の片隅に置きながら、厳正に実施されなければなりません。私は「特殊の政綱(党綱領と異なる綱領のことです)」も持たないどころか、現在の綱領と規約を全面的に支持することを表明しているのであって、その私が出版社の営業上の判断から他の本と出版時期を揃えたから分派だというのでは、五〇年問題における徳田派の誤りを再現することになります。そうならないよう、大会代議員選出から大会における再審査に至る過程において、党中央委員会に対して次の三つのことを求めます。

 

 まず第一は、今月一三日、一四日に開催される第一〇回中央委員会総会を受けて、これから党大会に向けて代議員が選出されていくわけですが、私の再審査にどういう態度をとるかは、代議員選出基準としてはならないということです。再審査に関する代議員の判断は、あくまで「党の最高機関」(規約第一九条)である大会での議論をふまえて、議論に参加した個々の代議員が行うべきものです。再審査への態度を基準にして代議員を選出するようなやり方をしていては、党大会が最高機関にふさわしい役割を果たすことはできません。関連して、選出された代議員がこの問題の是非を考えることができるよう、大会までの間に、除名した京都の党組織代表と私が出席する討論会を全国各地で開催することを求めます。それが実施されない場合、私は大会までの間、除名処分の不当性を全国の党員に訴えて活動しますが、党員がそれに同調することを処分したり、代議員として選出しない理由にしてはならないと考えます。

 

 第二は、この審査請求書Ⅰと同Ⅱ(『不破哲三氏への手紙』のタイトルで図書として刊行済)は、審査に際して大会代議員が熟考できる時間的余裕を持てるよう、大会以前に配布されるべきだということです。党大会の日程は非常に濃密なものであって、代議員が大会決定の議論に集中できるようにするためにも、再審査請求書の事前の配布は不可欠です。

 

 第三は、大会での審査のあり方です。大会で選出される幹部団が、私の再審査請求に対して何らかの判断を行い、それを大会代議員に諮って決定を行う方式が採用されるものと思われます。そのやり方を否定するものではありませんが、審査と決定に際しては、規約の「もっとも慎重におこなわなくてはならない」という見地からのアプローチが不可欠です。大会幹部団が提案したあと、少なくとも当事者である私に意見表明の機会を与えるとともに、代議員の討論も実施されるべきでしょう。投票方式は、民主主義の観点からはあまりにも当然ですが、挙手方式ではなく秘密投票で行うことが求められます。

 

 私に対する除名処分はきわめて不当なものでした。党首であれば共産党として自衛隊の活用や日米安保条約第五条の発動を認めると堂々と表明できるのに、党員である私が党首の提唱の延長線上にあると考える「核抑止抜きの専守防衛」を提唱すると、党綱領に反しているとして批判と除名の対象となるのです。そういう現状を放置していては、共産党の安全保障政策は健全なものにならないし、党員の言論は萎縮してしまいます。

 

 また私はこの間、党中央に対して除名の理由とされた「党の内部問題」や「分派」の定義、解釈を示すよう求めましたが、結果はゼロ回答でした。それなのに、「内部問題」を外に出したとか「分派」を形成したとして除名できるということは、何が除名に値するかは党中央だけが判断できることを意味しており、党員は行為のあとでしか、自分の行為が規約に合致しているのかどうか知りえないことになってしまいます。これらの現状を放置していては、党に魅力を感じる人は生まれず、「一三〇%の党づくり」は困難を抱えたままになります。だからこそ、私に対する除名処分の是非は、再審査によって徹底的に議論されるべきものなのです。

 

 再審査を規定した党規約の精神にふさわしく、私の三つの求めの基本点が受け入れられ、その上で大会代議員の結論が決まるのなら、「党の意思決定は、民主的な議論をつくし、最終的には多数決で決める」(規約第三条一項)という民主集中制の大事な原則が満たされたものとみなせます。したがってその場合は、結論が私にとって否定的なものになるのであれ、「最高機関」である大会の意思が示されたとして、私としても厳粛に受け止めます。除名撤回のため他の手段に訴えることもないでしょう。

 

 私は審査請求書の提出をもって、前記の活動を開始しますが、再審査がどのように行われるのか、その過程で以上のような求めが認められるか、お返事を頂ければ幸いです。可能な限り、代議員選出のための支部党会議、総会が開かれる以前にお願いします。□