来月(11月)9日(木)ですが、東京の大学生のグループ(「民主主義を考える若者の会」という名称)が私を呼んだイベント(「緊急開催!青少年のためのシン・松竹伸幸入門」)を開催してくれるそうです。午後6時半からで、会場参加は先着20名まで(1500円)、オンラインは定員なし(1200円)ということです。申込みをはじめ、詳しくはここから見て下さい。

 

 

 中祖寅一様

 

 週末はゆっくりと過ごされましたでしょうか。「赤旗」政治部長といえば激務ですから、無理をしてでもお休みすることをお薦めします。

 

 さて、私が中祖さんに最初のメールをお送りした10日(火)、「赤旗」の幹部記者の会議が開かれました。そこではあなたが報告し、9中総の結語で小池晃氏から高く評価された発言についても、記者に説明されたそうですね。

 

 その内容をお聞きして、正直、びっくりしました。この連載をはじめたことは無意味だったのではないか。そう思わせるほどのものだったからです。

 

 だって、私が権力と結びついているというのが小池結語の内容だったわけですが、その根拠となったあなたの発言のなかでは、その「権力」はどんな機関かとか、私と結託した人の名前や役職とか、何一つ出ていませんでした。権力と結びついていると批判されたから、こうやって連載を開始したのに、時間の無駄だったのかと思ったほどです。

 

 もう一つ、私と結びついたと強調された「メディア」については、たしかに出てきました。というか、私が『シン・日本共産党宣言』の評判を高めるためにメディアと接触したことは、このブログで私も書いてきたことなので、どこにも秘密はないのですが、それをあなたは、2月9日には大手紙関係者(おそらくあなたの旧知の朝日新聞記者でしょう)と懇談して事実をつかんだとして、得意げに報告していました。あなたの取材能力はすごいのですね。

 

 びっくりしたこともあります。私はいま述べたように、本の刊行直前、伝手を使っていろいろなメディアに連絡をとり、政治部の責任ある方に今回の本の説明をしたいと申し入れたのですが、中祖さんの話のなかでは、私のそういう「工作」の失敗例が得々と語られていたからです。

 

 確かに私は、中祖さんが指摘したように、東京新聞にはお会いすることができませんでした。とはいえ、それが中祖さんに知られてしまって「びっくりした」のではありません。その事実は、党と中祖さんの私への批判の根拠をみずから掘り崩すものだから、なぜそんなことを堂々とお話ししたのかに驚いたのです。

 

 だって、9中総の結語は、あなたの発言について、「権力、メディアと一体となった大掛かりな党攻撃であることをリアルに示しました」と述べています。あなた自身、幹部記者会議での発言で、支配層やメディアが松竹を使えると考えたのだとか、支配階級の大掛かりな攻撃だなどと強調しています。

 

 でも、以上見たことで分かるように、あなたの二つの事例紹介の内の一つは、私が失敗した例なのです。もし支配層、支配階級が私を使って大掛かりな党攻撃を企み、それにメディアを巻き込んで工作を進めていたのだったら、私が半分の確率で失敗することなどあり得ないではありませんか。私は、あなたに情報提供した東京新聞記者が語ったであろうように、自分の細い伝手を使って(権力からの支援など受けずに)、ただただメールを出し、お会いできた場合は説明するということをくり返しただけなのです。権力の手を使って接近したことなど、あなたの半年以上にわたる取材でもでてこなかったでしょう。実際、何もないのですから。

 

 あなたはきっと、私が失敗したことがうれしくてうれしくてたまらなくて、この事例を紹介したのでしょう。しかしそうすることで、権力と私の結託という、党指導部とあなたが思い描いた構図は、もろくも崩壊してしまったのです(なお東京新聞は、私のことを政治面では一行も書いていませんが、三木義一さんの有名なコラムがいち早くとりあげ〈共産党支持の多くの読者からはげしい抗議電話があったそうです〉、社会面では二面分を使って紹介してくれました)。

 

 権力と私の結託の証拠などないというなら、もうこの連載は止めようかと思いました。しかし、9中総でのあなたの発言は、まだ「赤旗」に掲載されていません。結語で紹介されで9中総決議の中心概念となったのがあなたの発言ですから、外に漏れやすい「赤旗」記者向けにはできない話でも、鉄の規律を保って何でも「全会一致」をくり返す中央委員の会議では、「権力」の具体的な話がたくさん出たのかもしれません。

 

 というか、そんな重大な話なら、隠すことなどせずに、さっさと公開すればいいのですけどね。それに、もしかしたら、9中総結語の「権力、メディア」という用語は、「赤旗」の校閲部のミスで、本当は「権力=メディア」ということだったのかもしれませんけれど。それはそれで重大な認識ですね。

 

 ということで、この連載、まだまだ続けます。私と権力は果たしてつながっているのか、つながっていないのか。党の中枢こそ、権力とつながっているのではないか。そんな話です。(続)