あさって17日(火)の午後4時45分より、醍醐聰さん(会計学、東大名誉教授)との対談をライブ配信します。共産党へのきびしくも愛情あふれた提言をしてこられた醍醐さん、私の除名問題ではどんなことをおっしゃるでしょうか。チャンネル登録の上、是非、ご視聴下さい。

 

四、復党して党首公選が実施されたら、立候補して訴えたい問題

1、現綱領と現規約を党活動に素直に反映させる党改革を(了)

●綱領では第一段階と第二・第三段階の関係を整理すればいい

●第一段階にふさわしい政策と党活動は「一三〇%の党づくり」に欠かせない

●民主集中制は規約通りに運用する──異論を尊重する党運営

●規約の解釈権は党員にも機関にも存在すると明確にし、異なった場合の運用をルール化する

2、「赤旗」を党と国民がともに要求を叶える「至宝」としてネット化する

●「赤旗」と党の危機は現行電子版への全面移行程度では救えない(了)

●調査報道に特化して「赤旗」らしさで勝負するようにする(了)

 

●関連記事表示などネット版らしさが党と国民が結びつくカギとなる

 

 二つ。もっとも大事なことは、党員や党支部がネット版「赤旗」を議論したり、拡大したりすることが、国民の願いを実現する活動と結びつくようにすることです。

 

 一九六〇年代から八〇年代頃まで、党員と党支部は職場、地域、学園で国民の要求実現を掲げ、国民とともに活動してきました。そのなかで「赤旗」と党員を増やしてきました。しかし現在、党支部が国民と要求実現で結びつく経路がやせ細っている上に、党活動の中心にすえられている「赤旗」拡大では、すでに結びつきのある人を短期読者にするなどに追われているため、新しい国民と結びつくことになっていきません。

 

 ネット版はそこを打開できる可能性があります。「赤旗」の拡大と国民要求を実現する活動が対立している関係を解き放し、上手に統合していけるかもしれないのです。

 

 紙面に沿って解説すると、どこかで(たとえばサイドバーのところなど)過去の記事をテーマ(国民の要求に沿った)ごとに見られるようにすることが大事です。「環境問題」とか「年金問題」とか「憲法九条」とか「米軍基地」などです。そこからは、関連した記事がどんなものでも見られるようにするのです。「調査報道」のスクープもあれば、運動の経験記事もあれば、お役立ち記事もあるようにです。

 

 そのことで何を狙うかというと、そのテーマの分野で運動を起こしていく上で、「赤旗」を不可欠な道具にすることです。そこを見れば、運動する上で大事なことがまとめて載っているものにするのです。いま四つの項目を挙げましたが、それらが中項目、小項目に分類されていきます。たとえば小項目では「子ども食堂」の項目があって、開設したり運用したりの経験も載っていれば、食料品を調達する上でのノウハウなども分かるし、行政の問題点の告発なども勉強できるようにするのです。党支部が「子ども食堂」をまわりの人といっしょに開設し、運営するうえで、「赤旗」が欠かせないというものにしていくことが大事です。

 

 いまあげた関連記事表示だけでなく、ネット版ならではの機能は積極的に取り入れるべきです。記事のスクラップ機能や、レコメンド機能、簡単印刷機能などを持たせれば、より使いやすくなります。

 

 なお、現在の「赤旗」は党幹部の動向や発言のスペースが大きくなっています。そういうものに関心のない人は、購読する気持になっていきません。けれどもネット版になれば、トップページのどこかに「党員向けページ」という入り口を置いておき、党員はそこから入るようにすればいいだけです。そうするならば、必要なものは全部ぶち込むような非常識なことをしても、一般読者にとって邪魔にならないので、党の宣伝臭が漂う現在の日刊紙より魅力的になり、読者も増える可能性が高まると思います。ただ、全国紙のネット版の記者をした経験のある人に聞くと、だいたい二〇〇〇字を越えた時点でスクロールが止まる場合が多いそうなので、たとえ説得力があっても長いものは読まれないことは覚悟しなければなりません。

 

●購読料の設定をどうするのか

 

 ネット版「赤旗」の料金をどう設定すべきでしょうか。率直なところを言えば、党の財政の仕組みは秘密のベールに覆われているので、党首にでもなって勉強してみないと、責任をもったことは言えないと思います。

 

 ただ、何とかやっていけるのではという、勝手な憶測はできます。いいことがたくさんあるからです。

 

 まずすでに指摘したように、紙代や印刷代など、大幅な節約ができます。日々の報道記事に記者を割く必要がなくなるので、記者の人件費も減らせるでしょう(記者を辞めても高齢化が進む党本部職員にはなれます。労働組合などの団体事務職も高齢化での退職が進んでおり、将来はともかく現在は人手不足なので、そこで機関紙の記者になる選択肢もあります)。

 

 そして何よりも大事なのは、日刊紙は一五万人程度の読者が存在することです。朝日新聞でネット版読者は三〇万人であり、その半分の読者が確実に見込めるのです。一般紙は無料購読できる範囲を広げて、次第に有料に囲い込んでいく戦略です(成功していません)が、「赤旗」の場合、そこは気にしないでいい。だって、党員が中心の日刊紙読者をそのままネットの読者にするのが、まず何より大事だからです。緊急性があるのは、まだ党員読者が10万人以上見込めるうちにネット化することです。そうすれば、試行錯誤しなからネット版の魅力を高め、読者を増やす方策を探っていくことが可能となります。時間的、金銭的余裕のあるうちに、ただちに着手すべきなのです。

 

 値段は下げます。参考になるのは、現代ビジネス(一一〇〇円)、東洋経済オンライン(一六〇〇円)、SAKISIRU(一五〇〇円)のようなネット媒体だと思います。

 

 紙じゃないと読めないという高齢者も多いでしょうが、これだけの「反共キャンペーン」のなかで毎月三五〇〇円も払っているのであって、一〇〇〇円台ならきっとカンパのつもりで購読してくれるでしょう。どうしても無理な人には、起動したらネット版が最初にでてくるような設定をしてタブレット端末を渡せばいいのです(二年間は三五〇〇円にして端末価格を回収)。

 

 無料で誰でも読める範囲をどう設定するかは、試行錯誤して決めていけばいいでしょう。少しずつ広げていって、最終的には完全無料版にすることも視野に入れることも選択肢に入れるべきです。もちろんその際は、気に入ったら投げ銭をもらうような読者の自発的な拠金システムと一体にするのです。

 

 最悪なのは、もうどうしようもなくなった段階で、「三か月後にこういう方式へ移行する」と一方的に決定が発表されることです。この問題は「赤旗」の財政、経営の問題ではありません。党員が国民とどう結びつき、運動を広げ、党を拡大するという、共産党にとってもっとも大事なことなので、党員の意見が何よりも大事です。決定したから実践せよ、決定に異論を述べることは規約違反だというのでは、これまでの間違いのくり返しです。党員の声、経験を聞きながら、議論して進めることを何よりも大切にしなければなりません。(続)