三、規約を理解せず、踏みにじっているのは、除名した党の側である

1、言ってもいないこと(=「異論を許さない党」)を処分の理由にできない

2、私はいかなる意味でも「分派」を形成したことはない

3、分派を禁止する規定は旧規約には存在したが現行規約からは外された

4、内部で意見をあげるのは義務ではなく権利であり、反しても処分の対象にならない

5、党の内部問題と党外での意見発表、党首公選の問題をめぐって

6、規約にもとづく処分をしながら関連用語の定義を示さないのは許されない

 

6、規約にもとづく処分をしながら関連用語の定義を示さないのは許されない(承前)

 

 規約の「運用マニュアル」についての「有無をふくめて回答の必要はない」という答えも噴飯物です。まず、除名も含めて処分がされる現場では、規約の用語や考え方について、処分される人と処分する機関との間で争いが起きる場合があります。その際、処分された当事者から私が聞いたいくつかの実例を紹介すると、「そういう解釈はおかしい」と主張した場合、機関の側が「いや、党中央に問い合わせたらこれが有権解釈になっているということだ」として、関連文面を読み上げることがあるそうです。つまり、名称は不明ですが中央には「運用マニュアル」のようなものがあるのです。実際、そういうものがなければ、何を分派として処分するかは、四七都道府県の約三〇〇の地区委員会が勝手に判断できることになってしまいます。存在して当然の文書なのですから、隠し立てしないで提出すべきです。

 

 さらに、「有無をふくめて回答の必要はない」という考え方は、法律の世界では「存否応諾拒否」として知られますが、特別の場合にしか許されない対応です。例えば現在、公文書改竄問題でうつ病を発症して命を絶った赤木俊夫さんの妻・雅子さんが、「改ざんをめぐる捜査のために財務省と近財が東京地検と大阪地検に任意提出した行政文書」の開示を請求し、拒否されたので裁判に訴えていますが、「存否応諾拒否」は財務省などが開示請求を拒否した理屈と同じです。雅子さんはこれを不服として、不開示処分の取り消しを求めて裁判を行っていますが、この裁判の弁護団の坂本団さんが「赤旗」(八月二三日)に登場し、「今回の訴訟の焦点は、森友学園問題に絡んで検察に任意提出された資料について、国が『存否応答拒否』できるかどうか、です。私たちはできないと主張しています」と述べています。

 

 その理由として坂本さんがあげているのは、情報公開法で認められている「存否応諾拒否」は、個人の病歴など「『不開示情報だから不開示』と通知すると、その情報が『ある』ことが分かってしまう『不存在』と通知する『ない』ことが分かってしまい、個人の病歴の一部が明らかになる」ような例に限られるそうです。こんな対応をしていると、そのうち、「赤旗」から批判されてしまうことだってあり得ます。党規約の運用に関するマニュアルは、その存否が明らかにされると、誰に不利益となり、何が不都合なのでしょうか。合理的な説明をお願いします。

 

 なお、共産党の京都府委員会と京都南地区委員会に対しても、私の除名を決定、承認した会議録の情報開示を求めました。それに対する返事(五月一九日)は党中央のものと基本的に同じで、個人情報はすでに「赤旗」や京都府委員会のホームページに公開されているというものでした。党中央と同じ返事をしておけば問題ないという考えが生みだした対応なのでしょうが、私が請求したのは会議録という京都に特有なものなのですから、少しは思考を働かせるべきだったでしょう。その結果、党にとって重大な問題を生み出しています。

 

 確かに、私の除名理由などはすでに公開されています。しかし、除名の決定に際しては、かならず出席者による採決が必要であり、私が開示を求めた会議録には採決結果なども記載されているはずなのに、そのような情報はこれまで「赤旗」等に公開されたことはありません。ですから、すでに公開されているという理由で、会議録を不開示とすることはできないのです。それとも、京都府委員会と南地区委員会による「(公開したもの)以外に個人情報に該当するものはありません」という返事は、私の処分を提案したが採決を行わなかったので、採決結果に関連する記録が存在していないということなのでしょうか。会議録が存在していれば、出席者の賛否の意見も記録されているはずですが、そのような意見も述べさせなかったので、「個人情報に該当するものはありません」ということなのでしょうか。

 

 そうだとしたら重大問題です。「除名は、党の最高の処分であり、もっとも慎重におこなわなくてはならない」(規約第五四条)なのですから、今回の私に対する処分は明白に規約を踏みにじっています。ただちに撤回すべきです。(了)

 

(*今後、除名問題再審査請求書の最後の部分として「四、復党して党首公選が実施されたら、立候補して訴えたい問題」の連載を開始します)