「安全保障を言論から考える」講義の質疑応答として、「台湾有事をどう考えるか」をアップしました。チャンネル登録の上、ご視聴ください。

 

三、規約を理解せず、踏みにじっているのは、除名した党の側である

1、言ってもいないこと(=「異論を許さない党」)を処分の理由にできない

2、私はいかなる意味でも「分派」を形成したことはない

3、分派を禁止する規定は旧規約には存在したが現行規約からは外された

4、内部で意見をあげるのは義務ではなく権利であり、反しても処分の対象にならない

5、党の内部問題と党外での意見発表、党首公選の問題をめぐって

6、規約にもとづく処分をしながら関連用語の定義を示さないのは許されない

 

2、私はいかなる意味でも「分派」を形成したことはない

 

 「通知書」は、私を除名処分とする規約上の根拠の二番目に、私が「分派」活動を行ったことを挙げています。これも全文を引用しますが、その上で「通知書」は最後の部分で、私が「党内に派閥・分派はつくらない」(第五条四項)という規約に反したとして、除名を通告したのです。

 

「(3)あなたは、『週刊文春』一月二六日号において、わが党に対して『およそ近代政党とは言い難い「個人独裁」的党運営』などとする攻撃を書き連ねた鈴木元氏の本(一月発行)を、「『同じ時期に出た方が話題になりますよ」と言って、鈴木氏には無理をして早めに書き上げていただいた』と出版を急ぐことを働きかけたことを認めています。あなたはわが党の調査に対して、この本の『中身は知っていた』と認めました。この行為は、党攻撃のための分派活動といわなければなりません。」

 

 ここで書かれていることの評価は別にして、事実関係については、私は否定するつもりありません。その点については、(1)に関して、「(共産党は)異論を許さない」と私が述べたかのような事実は存在しないと否定したのとは異なります。

 

 私は、鈴木元氏の本の担当編集者ですから、当然、その「中身は知っていた」と認めました。私の知る限り、出版業界において、担当編集者が中身を知らない本を刊行するなどあり得ません。もしかしたら共産党関係者の本は、出版社に中身を知らせないで、あるいは出版社が中身に反対しても、強引に発売する慣例があるのかもしれませんが、世間一般の出版業界の常識ではそういうことは通用しません。

 

 また私が、鈴木氏の本の刊行時期を私の本とあわせるため、「同じ時期に出た方が話題になりますよ」と述べ、執筆を早めてもらったことも事実です。しかし、すでに一の4で明らかにした通り、似たようなテーマの本を同時期に刊行することは、話題を高めて売上げを伸ばすための出版業界の常識です。私の処分のための調査でそのことを主張し、参加していた京都府の副委員長も「販売促進のためのものだったのですね」と指摘して、他の参加者の誰も反論せず、それ以上の追及はされなかったのです。それなのになぜ、この問題が処分の理由として挙げられているのか、党大会の再審査の場では、京都の党の釈明を聞かせてください。

 

 言うまでもなく、共産党の規約で分派が禁止されているのは、一〇〇年以上前にコミンテルン(共産主義インターナショナル)日本支部として創立された時点で、コミンテルンの加入条件としてそれが義務化されていたのが出発点です。共産党の五〇年問題は、党中央でさえ規約をふみにじって分派をつくる場合があることを示し、分派を禁止する重要性を浮き彫りにしました。

 

 それ以来、数え切れない党員が除名され、分派の汚名を着せられましたが、自著の刊行時期を他の党員とあわせたことが分派として除名された事例がこれまで一つでもあったのでしょうか。私にはそんな事例は存在しないと思います。なぜかと言えば、分派とはそのようなものではないからです。(続)