この間、私の除名理由とされた党綱領と安保・自衛隊問題について、いろいろ書いてきました。それに関連してコメント欄で次のような質問がありました。
自衛隊違憲論について、以下のような理解で良いでしょうか?
旧綱領では、自衛隊違憲論が多数になることで自衛隊解消をめざしていた。
現綱領では、「安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえ」て、自衛隊がなくても大丈夫との国民合意で自衛隊解消をめざす。違憲だから解消するのではなく、必要なくなるから解消する。
旧綱領の元では、共産党は自衛隊違憲論でまとまっている必要があったし、まわりに広げていく必要があった。
現綱領の元では、自衛隊違憲論でまとまる必要も、広める必要もなく、専守防衛なら良いのではと考える人であっても、海外派兵や集団的自衛権行使、軍拡に反対する人は党に迎え入れることができる。
どちらが正しいとか、どちらが多数かを党内外で争うことは、綱領の精神に反している。
ご質問をありがとうございます。現下の党にとって実践的な意味をもつ「130%の党づくり」に関連する大事な質問だと思いますので、私の考え方を述べます。
まず現綱領について、私自身の理解としては、ご質問の通りだと考えています。そうでないと、2000年の党大会決議で三段階論をとり、三段階目でも即自衛隊解消という立場はとらないと決めたことの意味がなくなります。『日本共産党の百年』でも、「決議の内容は2004年の綱領改訂によって党綱領に明記されました」とあるので、三段階論が綱領路線であることが確認されています。
ただし、現在の党指導部の理解がどうかは、私は判断できません。それは党指導部が、自衛隊違憲解消が基本政策であり、私の立場を「綱領への攻撃」と言い続けていることと関連します。
常識的に考えれば、入党の要件は基本政策ではなく綱領への賛同ですので、基本政策に100%賛成しなくても党に迎え入れるのに問題ないと私は考えます。しかし党指導部は同時に、私の立場は「綱領への攻撃」だと批判しているので、「基本政策が綱領そのものだ」という解釈なのかもしれませんので、そうなると自衛隊違憲解消の人しか党に迎えいてることができなくなります。
世論調査を見ても、自衛隊の縮小を求める人さえ、いまや数パーセントです。解散を求める人は、おそらく1%に満たないでしょう。その段階で、自衛隊の解消を入党の要件にしてしまったら、党に入る人はほとんどいなくなります。というか、対象者がいなくなります。
「130%の党」づくりの根幹にもかかわることですから、党中央委員会に問い合わせしてみてはどうでしょうか。質問された方のような回答を党中央が寄せてくるなら、「130%の党」づくりには明るい材料となります。
旧綱領下での自衛隊違憲論の認識は、私とはかなり異なります。旧綱領は自衛隊の解消を求めていましたが、それは違憲論からくるものではなく、以下の引用のように、自衛隊が対米従属の軍隊だという認識からです。
「日本の自衛隊は、事実上アメリカ軍隊の掌握と指揮のもとにおかれており、日本独占資本の支配の武器であるとともに、アメリカの極東戦略の一翼としての役割をおわされている。」
「党は、自衛隊の増強と核武装など軍国主義の復活に反対し、自衛隊の解散を要求する。」
驚かれる方もいると思いますが、そもそも旧綱領では、自衛隊が違憲だという記述自体がありません。綱領以外の文書ではそう主張することもありましたが、綱領的な課題ではなかったのです。
旧綱領制定当時の共産党は、9条以外でも多方面にわたる憲法改定を求める立場を明らかにしていたことに見られるように、憲法に対しては「間違っていたら改正すればいい」という扱いをしていました。つまり、憲法に違反するかどうかを政治的な判断の基準に据えていなかったのです。
私が党に復帰できれば、ご質問のような対応をする党にすることを、党首公選の公約にしようかな。再審査請求書にも取り入れてみます。