二、安保・自衛隊問題での私の主張は旧綱領に反するが新綱領には合致する

 

1、志位委員長の安保・自衛隊問題の努力を実らせることが除名になる不思議

●志位氏による自衛隊活用論と日米安保条約第五条発動論の提起

●自衛隊合憲論でも志位氏は大胆に踏み込んだ

●志位氏と私の提唱の異なる点は除名に値するほどのものか

●再審査で除名を正当化するなら志位氏の反省と著作の撤回が不可欠となる

2、新綱領の安全保障の考え方は、旧綱領とは本質的に異なっている

●志位氏の踏み込みには綱領上の根拠があった

●「平和の社会主義を侵略するための安保条約」は成り立たなくなった

●帝国主義に対する見方が旧綱領と現綱領では根本的に異なる

●新綱領にもとづく創意的な発展が求められている

 

 次に、私を除名処分にした理由、根拠に関わる問題を取り上げます。これがまったく成り立つものではないことを、京都南地区委員会の「除名処分通知書」(二月六日付)をもとに述べます。「通知書」は最後で次のように述べて、「あなたを除名処分とする」としています。

「あなたの一連の発言および行動は、党規約の『党内に派閥・分派はつくらない』(第三条四項)、『党の統一と団結に努力し、党に敵対する行為はおこなわない』(第五条二項)『党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない』(第五条五項)という規定を踏みにじる重大な規律違反です。」

 

 「通知書」はそのことを「論証」するため、私の言動の問題を四つに整理しています。そのうちの規約に関する(1)(3)(4)は後回しにして、党綱領に関する(2)を最初に取り上げましょう。私の安保・自衛隊問題での主張が党綱領と異なるだけでなく、党綱領に対する「不当な攻撃」となっているという問題です。

 

 まず、「通知書」の関連部分を、そのまま引用しておきます。共産党はこの間、「赤旗」や党幹部が演説で私を批判する際、私が言ってもいないことを持ちだし、批判の材料にしてきましたし、私の主張の内容を党員に知られないよう、私が刊行した本のタイトルさえ「赤旗」に一度も載せないやり方をとってきました。しかし、批判する相手が何を述べているかを堂々と紹介することは、批判の説得力を磨くために不可欠なことであって、私は「赤旗」や党幹部のやり方をまねるのでなく、「通知書」の全文を引用するものです(なお理由は不明ですが、私に送られてきた「通知書」と「赤旗」等で公表された文書には、微妙ですが重大な違いがあるので、あらかじめ指摘しておきます)。

 

「(2)あなたは、一月に出版した本のなかなどで、『核抑止抜きの専守防衛』なるものを唱え、「安保条約堅持」と自衛隊合憲を党の『基本政策』にせよと迫るとともに、日米安保条約の廃棄、自衛隊の段階的解消の方針など、党綱領と、網領にもとづく党の安保・自衛隊政策に対して『野党共闘の障害になっている』 『あまりにご都合主義』などと不当な攻撃を行っています。」

 

1、志位委員長の安保・自衛隊問題の努力を実らせることが除名になる不思議

 

 「通知書」では、私の主張と「党の安保・自衛隊政策」が異なることが述べられ、続いて私が「不当な攻撃」を行っているとされます。それが果たして正しい認定なのかどうかを論じる前に、というかそれを論じるためにも、まず志位和夫委員長がこの間、自衛隊と安保条約についてどんな発言をしてきたのか、それをまとめて紹介することにしましょう。志位氏と私の主張は、基本的に同じ方向を向いてきたし、問題によっては志位氏のほうが私よりずっと先を行っているものだと、きっと分かってもらえるはずだからです。(続)

 

*なお、再審査請求書に対して、メール、コメント、メッセージ等でいろんなご意見を頂いています。お返事はしていませんが、すべて目を通しており、実際に提出する際は参考にさせていただきますので、よろしくお願いします。