一、除名の決定に至る過程には重大な手続上の瑕疵がある

 

1、支部から規約上の処分の権限を取り上げた問題

2、「支部委員会の同意」という虚構が前提とされている問題

3、処分を決定する会議で意見を述べる権利を与えられなかった問題

4、調査の前から結論は決まっているなど調査の意味がなかった問題

 

2、「支部委員会の同意」という虚構が前提とされている問題

 

 「処分通知書」では冒頭で、私の除名処分について、「当該職場支部委員会の同意のもと、党規約第五〇条にもとづき、南地区委員会常任委員会として決定した」と書かれています。これを読めば誰でも、南地区による私に対する処分の決定には、私の所属する「支部委員会の同意」があったと思うでしょう。他に読みようがありません。しかしそれは完全な虚構です。

 

 支部委員会はそもそも私に対する除名処分への同意を求められていません。処分の決定後、地区委員会から個別の支部委員に対して電話がありましたが、そこでは地区が処分した事実と、翌日の京都府委員会の会議で承認されるという事実が伝えられただけです。ですから、私の所属する班を担当する支部委員は、処分通知書を見たあとで、「支部委員会の同意」という部分は事実と異なっているので承認できない旨を地区委員会に伝えています。

 

 さらに、同じ支部委員は、私が鈴木元氏の本を私の本と同時期に出すよう調整したことが「分派」として除名理由になっていることについても、地区委員会に不同意であることを伝えています。同時期に同種のテーマを揃えて出版することは、本の話題性を高め、販売促進につながるからです。そんなことが分派として処分されることになるなら、この出版不況の折、出版社の仕事は成り立たちません。だから、私の行動は出版社の社員としては批判されることではなく、逆に誉められるべきものだと地区委員会に伝えたそうです。

 

 いずれにせよ、支部委員会が処分に同意したという「通知書」の記述は、評価が異なるというような性格のものではなく、完全に事実に反しています。そもそも地区委員会が直接に処分を決める場合、規約上は支部の同意など不要なのですから、地区が支部に同意を求めてくるはずもないのです。この部分は処分理由と直接には関連のないものですが、処分される党員にとって重大な意味を持つ「通知書」のなかに虚偽が書かれていること、しかも長年の同志が私の除名に同意したかのような虚偽が書かれていることは、当事者としてはたまったものではありません。

 

 私は三月六日、党中央委員会に対して除名処分の一時執行停止を求める手紙を送り、さまざまなことを求めました。その一つがこの部分の削除、訂正でしたが、党中央規律委員会の返事(三月一五日)では、「『当該職場支部委員会の同意』とは、処分を地区委員会がおこなうことについてのべたものであり、処分の内容を意味するものではありません」とされていました。

 

 この党中央の返事は、処分の内容に支部委員会は同意していないという私の指摘を、素直に認めたものです。ということは、「(除名処分は)当該職場支部委員会の同意のもと、党規約第五〇条にもとづき、南地区委員会常任委員会として決定した」という処分通知書の記述は虚構であることを、他ならぬ党中央が認めたということです。それならば当然のこととして処分そのものも撤回されるべきです。

 

 なお、いま引用した党中央の返事で、「『党外職場支部委員会の同意』とは、処分を地区委員会がおこなうことについてのべたもの」とされている点について言えば、その「同意」も虚構の上に成り立っています。確かに、地区委員会から支部委員会に対してその種の電話はありました。しかしこの問題では、支部委員会の会議は開かれておらず、どんな決定も存在していません。支部長はそれこそ「特別の事情」があるので、自分では判断できないと答えたところ、地区委員会が別の支部委員に電話をかけて働きかけたと聞いています。

 

 党規約は、「除名は、党の最高の処分であり、もっとも慎重におこなわなくてはならない」(五四条)と定めています。「特別の事情」下で地区委員会が直接に処分することについて支部の同意を得る場合も、地区委員会がやるべきことは、支部長も含めて支部委員会の会議を開き、しっかりと説明し、指導することだったと考えます。個別の支部委員に電話をかけて了承をとるなどというやり方は、規約の求める「もっとも慎重に」という精神と逆行するものと言わざるを得ません。

 

 いずれにせよ、今回の処分そのものに「支部委員会の同意」があったという処分通知書の記述は、党中央規律委員会が認めたように、完全に事実と異なります。虚構を前提とした処分の決定は撤回されるべきです。(続)