一、除名の決定に至る過程には重大な手続上の瑕疵がある

 

1、支部から規約上の処分の権限を取り上げた問題

 

 党規約第五〇条は、党員の処分を誰が決定するかについて、以下のような規定をおいています。

 

 「党員にたいする処分は、その党員の所属する支部の党会議、総会の決定によるとともに、一級上の指導機関の承認をえて確定される。

 

 特別な事情のもとでは、中央委員会、都道府県委員会、地区委員会は、党員を処分することができる。この場合、地区委員会のおこなった処分は都道府県委員会の承認をえて確定され、都道府県委員会がおこなった処分は中央委員会の承認をえて確定される。」

 

 この規約で明白なように、党員の処分は、所属する支部の党会議(党員数が多い場合に班などで代表を決めて開かれる会議のこと)、または支部総会で決定することが基本です。ところが今回、処分の権限は支部から取り上げられ、京都南地区委員会が行うことになりました。その理由と経過について、私に対する地区委員会の「処分通知書」(二月六日付)では、「あなたがすでに全国メディアや記者会見などで公然と党攻撃を行っているという『特別な事情』にかんがみ、同支部委員会の同意のもと、南地区委員会常任委員会として決定した」とされています。

 

 法律の世界では「特別法は一般法を破る」という言葉があるように、特定の条件のもとでは、一般的な法律の規定よりも特別の法律が優先する考えがあることは承知しています。例えば、日米地位協定の「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、……合衆国が負担する」という規定があっても、「思いやり予算」の特別協定で例外を規定すれば、例外が優先されることがあるのと同様です。「特別の事情」で地区が直接処分したのは、そうした考えが適用されたのでしょう。

 

 しかし、法律の世界でこの考え方が適用されるのは、きわめて限定的な場合です。日米地位協定の場合も、特別協定により適用される例外事項は明示的に決められ、しかも五年の期限が定められ、国会の承認を必要としています。ですから、地位協定の例外を日本政府が独断で決められないのと同様、党規約の「特別の事情」も、党機関が勝手に決められるものではなく、本来であれば、どういう場合に限定されるのかが規約等で明示されるべきなのです。明示されない場合は、特別に抑制的に運用されるべきものです。

 

 そういう視点で見ると、こうした法律の世界の概念が党規約に援用されるとしても、私の除名処分にあたって、地区が支部から処分の権限を取り上げたことは、「特別な事情」の脱法的な解釈と言わざるを得ません。何よりもまず、党員が所属する支部に処分の権限を与えた意味を、まったく理解していません。(続)