まず第一は、これから党大会に向けて代議員が選出されていくわけですが、私の再審査にどういう態度をとるかは、代議員選出基準としてはならないということです。再審査に当たって代議員がどういう態度をとるかは、あくまで「党の最高機関」(規約第一九条)である大会での議論をふまえて、議論に参加した個々の代議員が判断すべきものです。再審査への態度を基準にして代議員を選出するようなやり方をしていては、最高機関である大会としての役割を果たすことはできません。関連して、私は大会までの間、京都府党と南地区党の除名処分の不当性を全国の党員に訴えて活動しますが、党員がそれに同調することを代議員として選出しない理由にしてはならないと考えます。もちろん、京都府党と南地区党が除名の正当性を全国の党員に訴え、その支持者が代議員となるよう働きかけることも当然です。

 

 第二は、この審査請求書Ⅰと同Ⅱ(『不破哲三氏への手紙』のタイトルで図書として刊行済)は、審査に際して大会代議員が熟考できる時間的余裕を持てるよう、大会以前に配布されるべきだということです。党大会の日程はタイトであって、代議員が大会決定の議論に集中できるようにするためにも、再審査請求書の事前の配布は不可欠です。なおこの間、私が個人情報保護法にもとづく除名関連の個人情報の開示請求をした際、党書記局から「除名に関しての再審査については、被除名者がいかなる書式で提出しようと再審査の対象になる」との返事が寄せられていますので(五月一五日)、再審査請求書がⅠとⅡに分離する「書式」となることも許されるものと考えます。

 

 第三は、大会での審査のあり方です。大会で選出される幹部団が、私の再審査請求に対して何らかの判断を行い、それを大会代議員に諮って決定を行う方式が採用されるものと思われます。そのやり方を否定するものではありませんが、審査と決定に際しては、規約の「もっとも慎重におこなわなくてはならない」という見地からのアプローチが不可欠です。大会幹部団が提案したあと、少なくとも当事者である私に意見表明の機会を与えるとともに、代議員の討論も行われるべきでしょう。

 

 私に対する除名処分はきわめて不当なものでした。党首であれば共産党として自衛隊の活用や日米安保条約第五条の発動(核抑止がそれに含まれるか黙ったまま)を認めると堂々と表明できるのに、党員である私が「核抑止抜きの専守防衛」を提唱すると、党綱領に反しているとして批判と除名の対象となる現状を放置していては、共産党の安全保障政策は健全なものにならないし、党員の言論は萎縮してしまいます。また私はこの間、党中央に対して除名の理由とされた「党の内部問題」や「分派」の定義、解釈を示すよう求めましたが、結果はゼロ回答でした。それなのに、「内部問題」を外に出したとか「分派」を形成したとして除名できるということは、何が除名に値するかは党中央だけが判断できることを意味しており、党員は行為のあとでしか、自分の行為が規約に合致しているのかどうか知りえないことになってしまいます。これらの現状を放置していては、党に魅力を感じる人は生まれず、「一三〇%の党づくり」は困難を抱えたままになります。だからこそ、私に対する除名処分の是非は、再審査によって徹底的に議論されるべきものなのです。

 

 再審査を規定した党規約の精神にふさわしく、私の三つの求めが受け入れられ、その上で大会代議員の結論が決まるのなら、「党の意思決定は、民主的な議論をつくし、最終的には多数決で決める」(規約第三条一項)という民主集中制の大事な原則が満たされたものとみなせます。したがってその場合は、結論が私にとって否定的なものになるのであれ、「最高機関」である大会の意思として私としても厳粛に受け止めます。除名撤回のために裁判に訴えることもないでしょう。

 

 私は審査請求書の提出をもって、前記の活動を開始しますが、再審査がどのように行われるのか、その過程で以上のような求めが認められるか、お返事を頂ければ幸いです。可能な限り、代議員選出のための支部党会議、総会が開かれる以前にお願いします。

 

 以下、除名処分に反対する理由を述べます。再審査請求書Ⅰでは主に手続上の問題と内容上の問題の概要を、Ⅱでは内容上の問題の詳細を扱います。(続)