昨日、78年目の8月6日だったので、関連するYouTube動画をアップしました。ご覧ください。

9日の記者会見同時中継ですが、まだチャンネル登録されていない方は、ここからまず登録して頂き、当日の午後2時からは、ここでご覧ください。

 

 

 

 61年綱領は、すでに書いたように、国会で多数を得て民主連合政府を樹立しても、まだ「革命の政府」ではないという考え方にたっていた。革命の根本問題は権力の問題だが、その権力は「二つの敵(独占資本とアメリカ帝国主義))が握っており、それを奪うための熾烈な闘争が、政府の樹立後に展開されることを想定していたのである。戦争と暴力に訴えてくるのが帝国主義である敵の本質なので、こちらの側も非平和的な(政府が行うわけだから合法だが)対応をとることを覚悟していた。

 

 では2004年綱領はその問題をどう考えているのだろうか。いくつかの視点で取り上げる。

 

 まず、61年綱領で「敵」とされていた独占資本とアメリカ帝国主義は、新綱領ではそもそも「敵」とは表現されていない。せいぜい「支配勢力」という表現に止まっている。「敵」ではないのだから、この二つの勢力が「権力」を保有しているという表現もない。

 

 いや、そもそも論を言えば、新綱領は1万5000字の文章だが、「敵」という言葉は一つも出てこない。それだけ配慮してつくられている。「敵」が存在しないのだから、「敵の出方」論が継続しようがないのだ。

 

 革命の根本問題は、これまで強調してきたように、「権力の移行」である。では、いまは誰が権力を保有していて、それを誰に移行するのだろうか。これは、すでに引用したように、こう表現されている。

 

「日本の独占資本主義と対米従属の体制を代表する勢力から、日本国民の利益を代表する勢力の手に国の権力を移す」

 

 現在、権力を持っているのは、独占資本とアメリカ帝国主義そのものだとは捉えていない。そうではなく、その二つの体制を「代表する勢力」が保有しているのである。それが保有している権力を、「日本国民の利益を代表する勢力」に移すのが革命なのである。

 

 この「勢力」が何を意味するのか明示的に定義されていないが、文脈からして、中心的には「自民党政権」ということになろう。自民党政権がもつ「権力」を民主連合政府に移行させるのである。これは難しいことではない。議会を通じての平和的革命を行うことである。それをやればいいのであって、61年綱領のように、政府を樹立したあとも、なお敵である独占資本とアメリカ帝国主義から権力を奪うような闘争をする必要はない。

 

 もちろん、独占資本やアメリカ帝国主義という「支配勢力の妨害や抵抗」との闘争は、新綱領でも強調されている。同時に、そのために何をするかというと、「統一戦線の政府が国の機構の全体を名実ともに掌握し、行政の諸機構が新しい国民的な諸政策の担い手となること」なのである。国民の信任を得て樹立された政権が「行政の諸機構」を握ることは、あまりにも当然のことである。民主党政権ができた際、官僚機構が普天間基地の県外移設を妨害した経緯を見ても、このことは重要だと考える。

 

 61年綱領と異なり、権力を移行するために必要だとして04年綱領で規定されているのは、以上だけなのだ。相手の暴力に対して実力で立ち向かうことを連想させるような記述はない。「敵の出方」論のように、革命の非平和的発展を想定する必要性が、この新綱領では存在しないのである。(続)