さて、最後である。こうやって改革することで、採算は取れるのかということだ。

 

 これは正直、「やってみないと分からない」としか言えない。無責任なようだが(もともと責任をもって提起すべきは党費や党員の「赤旗」代金やカンパで養ってもらっている志位さんや中央委員の方々である)、党財政の現状や仕組みが秘密のベールに覆われていて分からないので、仕方がない。

 

 ただ、何とかやっていけるのではという、勝手な憶測はできる。いいことがたくさんあるから。

 

 まず記者は300人体制から50人になるので、人件費は大幅節約である。調査報道のための取材に特化できるとなれば、現在は反共キャンペーン特化でやる気が削がれている記者も、ふたたび奮起してくれるだろう。

 

 紙代と印刷代はゼロになる。これは大きい。代わりにネット版のデザイン費用とか運用費用がかかるが、これはすでにHPなどで経験していることでもあり、紙代と印刷代と比べれば、ほとんどゼロのようなものだ。

 

 そして何よりも大事なのは、読者が減ったとはいえ現在、日刊紙は15万人程度の読者が存在するということだ。すでに紹介したように、ネット化が成功しているといわれる日経新聞で82万人、朝日新聞で30万人である。15万人が読者になるということは、朝日の半分の読者が確実に見込めるのである。

 

 値段は下げる。参考になるのは、以下のようなネット媒体だと思う。現代ビジネス(1100円)、東洋経済オンライン(1600円)、SAKISIRU(1500円)。

 

 紙じゃないと読めないという高齢者も多いだろうが、これだけの「反共キャンペーン」のなかで毎月3500円も払っているのであって、1000円台ならきっと購読してくれる。どうしても無理な人には、起動したらネット版が最初にでてくるような設定をしてiPadを渡せばよかろう(2年間は3500円にして端末価格を回収)。

 

 県・地区に必ず還元する仕組みも必要である。誰が拡大したかにかかわらず、あるいは自発的に中央に申し込んでくる場合でも、読者の居住地にもとづいて、料金の一定部分は地方組織のものにすべきだ。

 

 なお、一般紙は無料購読できる範囲を広げて、次第に有料に囲い込んでいく戦略である(成功していないが)。「赤旗」の場合、そこは気にしないでいい。だって、党員が中心の日刊紙読者をそのままネットの読者にするのが、まず何より大事なのだから。無料版で誰でも読めるのは毎日の最新の調査報道だけというのはどうだろうか。

 

 緊急性があるのは、まだ党員読者が10万人以上見込めるうちにネット化することだ。そうすれば、試行錯誤しなからネット版の魅力を高め、読者を増やす方策を探っていくことが可能となる。時間的、金銭的余裕のあるうちに、ただちに着手すべきなのだ。

 

 最悪なのは、もうどうしようもなくなった段階で、「三か月後にこういう方式へ移行する」と一方的に決定が発表されることである。党員が国民とどう結びつき、運動を広げ、党を拡大するという、共産党にとってもっとも大事なことなので、党員の意見が何よりも大事である。決定したから実践せよ、決定に異論を述べることは規約違反だというのでは、これまでの間違いのくり返しである。党員の声、経験を聞きながら、議論して進めることが何よりも大事である。

 

 今回で終わるつもりだったが、最後に、どうしても一言のべておきたいことがあるので、明日はそれを。いまの党指導部が考えているであろろう「赤旗」改革案への批判である。(続)